小さな銀色の針と細い糸、そして光を透かす薄絹……油絵や素描、中国画のようなこれらの作品は、実は刺繍です。刺繍で美しい絵巻を描き出す巧みの技。これが蘇州刺繍ならではの魅力なのです。
蘇州刺繍は中国の有名な手工芸です。蘇州周辺で盛んで、二千年余りの歴史があります。蘇州刺繍は、図案の美しさ、色の上品さ、ステッチの豊富さ、刺繍の細かさなど独特のスタイルを持ち、湖南刺繍、四川刺繍、広東刺繍と並んで中国四大名刺繍と称えられています。
黄春婭さんは蘇州刺繍研究所の研究員で、蘇州刺繍の大家です。長年刺繍ステッチの研究に取り組み、伝統刺繍を継承しつつも積極的に西洋美術との融合を探求。伝統蘇州刺繍は時代と共に歩むべきという考えのもとに、独自のスタイルを築いてきました。
定年退職の年を迎えた黄さんですが、人材不足のため蘇州刺繍研究所に残り、蘇州刺繍の伝承にその余生を捧げています。地方政府と力を合わせることで、蘇州刺繍という中国伝統芸術がいっそう鮮やかな花を咲かせることができる。そう黄さんは信じています。
「北京週報日本語版」2012年6月21日
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