美しいデザイン、鮮やかな彩りの作品の数々……切り紙を細工した剪紙とは思えないほど見事な作品ばかり。これは中国で最も地域特色のある剪紙、河北省の蔚県剪紙です。
蔚県剪紙の起源は明代。独特のスタイルは、国内外から高く評価されています。切り抜いた部分が物の形を表す「陰刻」手法を主に用いますが、残した部分が物の形をした「陽刻」手法も合わせて使われます。「点色剪紙」と呼ばれる着色切り紙細工です。下絵、切り出し、着色など6工程がありますが、「三分の工、七分の染」と言われるように、着色が重視されます。題材は人物のほか、草花や魚、虫、鳥獣類など縁起ものが選ばれます。
周淑英さんは蔚県剪紙の第3世代の伝承者です。周派伝統技法を継承した上で、長年研究を積み、着色の新技法をいくつも編み出しました。題材も、伝統的で単一的なもの以外に、庶民生活を反映したリアルなものを取り入れました。
この作品のタイトルは『生命樹』。1996年の作品で、周さんの中央美術学院卒業製作です。「天を支える大きな生命の木で、吉祥を象徴する少女が楽しげに蓮の花の上に座り、安逸な生活を楽しんでいる」という意味が込められています。
数十年にわたって情熱を傾け追求し続けてきたことで、周さんは剪紙芸術の奥深さと芸術が人の心を豊かにすることをより深く実感するようになりました。
「北京週報日本語版」2012年6月21日
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