人民元の国際化を後押し
「これは人民元の国際化の重要な一歩だ。人民元がドルの中介を離れ、国際通貨市場へと進出していくことを意味している」。中国社会科学院世界経済政治研究所研究員の張斌氏はこう語る。
上海国際礼品展(インターナショナルギフトショー)で展示された日本風の雑貨や小物(劉頴撮影)
貿易を通じて人民元を海外に進出させ、まず決済通貨とすることは、人民元国際化の重要なステップだ。日本円はドル、ユーロを除く国際的な主流決済通貨であり、人民元は世界第2の経済体の決済通貨である。世界で最も活気ある外国為替市場の1つである東京外国為替市場を通じて、人民元はより国際市場に受け入れられやすくなる。
世界金融危機以来、中国は主体的に人民元の国際化を加速し、国をまたいだ貿易投資の人民元決済業務を積極的に切り開くと同時に、韓国、マレーシア、ベラルーシ、アルゼンチン、トルコ、オーストラリアなど10余りの国と地域の中央銀行とも1兆5000億元を超える通貨交換協定を結んだ。
しかし長期にわたって、人民元為替レートはドルのみと結びついたもので、その他通貨との為替レートはドルと当該通貨為替レートとの間接的なクロスレートだったため、相場が硬直化しリアリティを欠いていた。人民元と日本円の直接取引により、人民元為替レート決定メカニズムがより透明化し、価格はより実勢に近いものになり、人民元為替レートの自主性が高まり、企業の為替コスト削減と人民元国際化の推進に役立つだろう。
人民元と日本円の直接取引により、今後の人民元改革は次の2つの面に集中していくはずだ。1つは為替レート制の改革。現行では市場の需給関係に基づいてバスケット通貨を参考に調節・管理を行う変動為替レート制だが、次なる改革は自由変動制に向けてのものになるだろう。2つめは資本プロジェクトの改革で、今後開放度を高めていくことが必要になる。この2つは人民元の国際化において最も慎重に進められてきた分野であった。
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