中日双方に利益
ミクロ的に見ると、人民元の対日本円直接取引の最大のメリットは、海隆軟件のような相互に業務関係のある中日双方の企業が貿易為替損失を減らせることだ。
6月1日、東京の三菱東京UFJ銀行。この日、人民元と日本円の直接取引が上海と東京の市場でスタートした (関賢一郎撮影)
6月1日以前、中国が直接取引する通貨はドルのみで、人民元とその他通貨の取引方式はドルを介したものだった。人民元はその他通貨に対し為替レート価格を提示するものの、電信仲値相場制では当日の人民元対ドル為替レート仲値とドルの対当該通貨為替レートのクロスレートで算出している。こうした間接取引方式では、実勢に合った為替レート価格を算出するのが難しく、同時にドル為替レートの変動により双方の企業に不必要な為替損失をもたらしていた。直接取引になれば、中間為替コストと為替レートリスクを減らすことができる。
中国は日本の第4の貿易パートナーであり、日本は中国の第2の貿易パートナーである。中日貿易額は昨年3449億ドルにまで達し、人民元と日本円が直接取引できるようになれば、毎年の中日貿易取引コストを30億ドル前後削減できる。
マクロ的な面については、対外経済貿易大学金融学院院長の丁志傑氏は次のように考えている。「人民元と日本円の直接取引は両国の外国為替市場、特に東京外国為替市場の活性化に役立つ。現在ユーロ圏経済が低迷しユーロの将来性が不透明な中で、人民元と日本円の直接取引を進めることは、日中貿易と投資活動をさらに促進し日本円と人民元の国際金融市場地位を高めるのに役立つだろう。これは中日の通貨どちらにとっても有利である」。
このほか、中日双方はこれを国際通貨体系改革と外貨準備高管理の手段にするだけでなく、双方の暗黙の了解として、為替レートと外国為替市場を相互にコントロールする手段にすることもできる。
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