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90年代の中日関係

               本誌記者 趙玉琳

中日国交正常化二十周年を記念するため、中華日本学会と中日友好協会の共催による「九〇年代の中日関係の課題」国際学術シンポジウムが九月三日から五日まで北京国際会議センターで開かれた。劉徳有中華日本学会会長、孫平化中日友好協会会長、胡縄中国社会科学院院長、鄭必堅同副院長、水野清日本自民党総務会総務、荒木喜代志中国駐在日本大使館文化参事官および両国の専門家、学者百余人が会議に出席し、中国の学者十人、日本の学者七人がパネリストとして発言した。

北京·中南海で水野清氏ら日本側の参会者と会見する朱鎔基副総理

このシンポジウムを開催する目的は、中日両国の学者が一堂に集まり、中日国交正常化二十周年らい歩んできた道を振り返り、両国関係発展の経験·教訓をまとめ、九〇年代に対する展望を通して、今後の両国関係の発展方向や関係を検討することにある。劉徳有中華日本学会会長は開会のあいさつの中で次のように述べた―「レベルの高い今回の学術交流活動は、両国の友好協力を強めることについても、アジア·太平洋地域と世界の平和を促進することについてもたいへん重要な意義を持つものだと信じております」

正常化以来の二十年間、両国関係は大きな進展をとげた。代表の多くは発言の中で、これまでの二十年間両国が政治、経済、文化、科学技術、スポーツなどの面であげた成果を十分に肯定し、いまなお存在している問題をも指摘した。当面、国際情勢には深刻な変化が発生し、冷戦時代は旧ソ連の解体によって終結し、旧い世界の枠組みがすでに打破され、新しい枠組みがまだ形成していない状況にある。こうした情勢の下における中日関係はどのような方向へ発展するのか。これについて、中国駐在日本前大使、三菱重工株式会社顧問である中江要介氏は「それは、一九七二年の日中共同声明と一九七八年の日中平和友好条約とに明らかである。一口で言えば、体制の相違があるにもかかわらず、平和友好関係を樹立すべきであり、また、それが可能である」と述べた。もちろん、中日関係は国際新秩序の一構成部分である。いかにして新国際秩序を構築するかは、全世界人民が面している課題である。陸忠偉中国現代国際関係研究所研究室主任はそれにふれて次のように指摘した―「先ず正しい時代観を持たなければならない。国際新秩序の構築には、歴史的に進歩的で合理的ものを受け継ぐ上に、全世界に認められる新しい規則をつくらなければならない。『世界のうちの中日関係』を確立しようとすれば、中日関係の政治的基盤を国際新秩序の規則に合致させるほかはない。こうすれば、両国関係は限りのない発展潜在力を持つようになる」。猪口孝東京大学教授も次のように述べた。「日中関係は冷戦後の世界秩序のなかで地味ではあるが、着実な進展を示している。何千万人が殺害された戦争から、このような友好的で、平和で、そして繁栄のシンボルとして誇れる日中関係を持続したのは両国国民、両国政府の努力によるところが大である。これをさらに発展させるためにも、日本と中国は冷静で、世界的視野からの判断と前向きの歴史観を組み合わせて、実務的な問題解決に真摯に取り組むべきである」。双方の学者は、中日関係をアジア·太平洋地域と世界の角度から考え、中日関係の安定と発展は両国に有利であるだけでなく、アジア·太平洋と世界の安定と発展にも有利であることに合意した。

九〇年代の中日関係はいっそうの発展を見せ、見通しは楽観的なものだと見られている。新しい情勢の下に未来を切り開くには、両国間の有利な条件を見出さなければならない。郭炤烈上海国際問題研究所顧問は、「中日両国間に次の六つの有利な条件がある。①アジア·太平洋地域の相対的安定は中日関係発展の保証である②世界のトップに立っているアジア·太平洋地域の経済活力は同地域での中日両国の経済協力のためになかなか有利な条件を提供している③中日両国の経済発展段階が異なることで、相互補完性がある④政治と経済が互いに組み合わされた相互関係の下に、両国が互いに相手を必要とする⑤両国友好往来の経験は引き続き役立つ⑥両国関係の健全な発展は両国と他の国との関係の発展を促進するとともに、覇権主義と強権政治の制止にも制約の役割を果たすであろう」としている。

多くの有利な条件下で中日経済関係を発展させることはこのシンポジウムのホット·スポットの議題となった。代表たちはたくさんの数字と事実で中日経済貿易関係の成果を列挙し、同時に存在している問題をも指摘し、九〇年代及び二十一世紀の発展について見識の高い観点、提案を示した。宋紹英東北師範大学日本研究所所長は発言の中で次のように指摘した―「中日関係の全面的発展や日本の国際化の深化と中国の改革·開放のいっそうの拡大につれて、中日経済関係は新しい段階に発展する。その特徴は、平等互恵と協力を踏まえて、安定し、バランスをとり、拡大し、向上することである。安定は、現れたことがある大きく起伏した局面を避けるように努めること、バランスをとるのは、国際的分業に参与する上での中国の地位を高め、対外経済貿易関係ではしだいにヨコの分業への発展を速めること、拡大は、交流と協力の分野と規模を拡大することである」。丸山伸郎アジア経済研究国際協力調査室室長は、相互信頼の経済関係を樹立しようとする日中両国の間にはさまざまな調整の必要のある課題が存在している。先ずは中国投資環境の長期にわたる安定を維持することである。このため、経済の安定成長は不可欠なものである。その次は、東アジア地域を製造業基地に発展させるための前提条件は、日本、アジアの四匹の小竜、中国の三者の間で合理的国際分業関係を樹立することである、としている。

歴史的、文化的、地理的特殊関係によって、中日両国の平等互恵の協力見通しは非常に明るく、長期にわたる安定した経済協力関係の樹立は全く可能なことであり、両国は経済面では大きな相互補完性がある。総体的に見れば、経済、技術面での両国間の格差が長期的に存在すると言われている。日本は経済、技術、管理の強みを持っているが、中国は資源が豊富で、市場が大きく、人的資源が充実している、タテ割りの分業からヨコの分業への移行過程の中で、両国の相互補完性は減少することはない。

90年代における中日関係国際学術シンポジウムの会場

二日間半にわたったシンポジウムで、中日両国の学者はアジアと世界の平和、発展の角度から中日関係の過去、現在と未来を論じ、新しい情勢の下における中日関係発展の重要性について共通認識を得た。また、多くの学者は、相互理解を深めるため、今後、ともに関心を寄せる問題について専門テーマのシンポジウムを開き、双方の学者間の交流と相互訪問の機会を増やし、両国関係の発展を促進するよう提案した。

われわれは中日関係が九〇年代により大きな発展をとげるよう期待している。

「北京週報日本語版」1993年No.39

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