(三)経済交流の円滑化の要請
日中両国政府共同声明と日中平和友好条約のもとで日中関係は大筋として順調に発展し、特に経済面では日中双方にとって最早不可分と云える程の相互補完関係に至っている(中国の対日貿易依存度は輸出二〇%、輸入二一%、日本の対中貿易依存度は輸出一〇%、輸入一一%)。この経済協力関係は科学技術交流などと共に更に拡充すると思われるが、当然のこと乍ら各種の摩擦も今まで以上に多方面で発生するであろう。しかしこれらの問題はいずれも話し合いで解決できるはずのものであり、中国国内での受入体制の一層の整備·改善を期待したい。例えば日本企業の進出計画に対して中央と地方で考え方が相違しているため計画が具体化できないようなケースにおいて、両者間の迅速な調整機能が働く仕組みを制度化できないものか。「時は金なり」を信条とする日本企業が事の成り行きに困惑するような事態が生じぬようお願いしたい。経済·文化·科学分野の各々の協力関係強化は、全体としての日中友好関係にとってプラス要因と考えて前向きに対応したいもので、これを促進するため官·民の緊密な協力体制が求められる。
(四)これからの二十五年への展望
二十五年間を節目と考えれば日中関係は今、次の節目に向かって新たな出発点に立っている。過去二十五年間に学習したことは充分活かして行くべきであるが、むしろこれからの二十五年間を如何に設計するかが課題である。
二十五年前と様変わりした世界情勢の中で、銘々存在感を高めこれに則して国際的役割の増した日本と中国が共存共栄するためにどの様な選択をすれば良いか日中双方が充分話し合う必要がある。世界は多極化、アジアは多様化の時代を迎えており、戦略思考に立った多面的な予防外交の必要性が高まりつつあるが、日中間においても、良い芽を積極的に育て、悪い芽を前広に摘んでおくための賢人会議のような仕組みが必要ではないか。
当面の課題はその様な背景の中で日本·中国·米国の三角関係をどの様に構築するかである。世界で唯一の超大国である米国は日本にとっても中国にとっても最も重要な相手国であるが、日本は日中両国政府共同声明と日中平和友好条約に反しないように米国との関係を調整しなければならない。具体的には日米安保条約の解釈運用において台湾は極東の範囲から除外すべきであると思う。中国に対しては、中国の内政問題ではあるが、台湾海峡の国際的影響の重大性を思い、平和統一を心から希求したい。
おわりに
日中関係はこれからも波風の立つことが間々あると思うが、幅広い分野での友好交流関係を支えとし、また、両国国民の英知により問題点を解消し、良好な関係を維持発展させることができると確信している。
誠実で率直な意見交換や対話が相互理解を進め信頼感を深める原点と思うので、その様な場を各界各層で意識して求めるようにしたいものである。
「北京週報日本語版」1997年No.39
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