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日中国交正常化二十五周年に寄せて

日中友好議員連盟会長·衆議院議員 林義郎

 

一九九七年九月二十九日は、田中角栄日本国内閣総理大臣と、周恩来中華人民共和国国務院総理の間で日中共同宣言が署名されてから二十五周年たった記念すべき日である。思えば一九七二年に日中関係の改善をみる迄には、先人たちの並々ならぬ苦労があった。参議院議員帆足計氏がロシアを経由して中国入りをしたとか、松村謙三、藤山愛一郎を始めとする、当時の著名な政治家が日中国交回復のために国内において運動を展開したとか、日本航空の会長であった岡崎嘉平太氏が親中国的な動きをして、当時の佐藤総理の不興を買ったとか、言い始めれば限りない。しかし、一九七二年に田中角栄内閣総理大臣が誕生するや日中国交回復は、自民党の中で大議論のすえ進めることになった。私は当時衆議院一回生であったがこの議論に参加し、田中角栄の「十大政策」という新政策の起草をしたが、その中にはっきりと「二千年の歴史をふまえて、日中国交の回復を図る」と書いておいたのである。

宣言調印後四カ月の一九七三年一月に田中派若手一同で北京を訪問し、周恩来総理にも親しくお目にかかった時の感激は今でも忘れられない。その後、鄧小平閣下や江沢民閣下にも度々お会いし会談をしたが、最初の感激は忘れられない。当時は、単に長旅というだけではない。なにしろ日本を発って香港に行き、そこから深圳に汽車で行き、税関を通るために徒歩で重いトランクをさげて行き、再び別の汽車で広州迄行った。広州で一泊して次の日に飛行機で北京に入った。北京での周恩来総理の話は極めて説得的で同文同種をはっきりと感じ取った。

その後二十五年間何度も中国に訪問したが、そのたびに、よくぞここまで発展したなとおどろかされる。日中間の交流も、人的交流は一九七二年九千四十六人だったが一九九六年は百二十七万六千十四人、貿易額は十一億ドルだったものが六百二十四億ドル、円借款は一九七九年から五年づつ第一次三千三百九億円、二次四千七百億円、三次八千九十九億円。一九九六年からは三年間で第四次分五千八百億円を目指しております。又中国にとって貿易相手国の第一位はつねに日本であった。

中国はいま民生の安定、香港の一国二制度などあたらしい発展に向けて努力している。中国の魏志倭人伝いらいの永い隣人である日本は、来年二十周年を迎える日中平和友好条約で述べているように、両国間の経済文化の一層の発展、並びに両国民の交流の促進の為に努力をしたい。

最後に写真にある「博愛」という孫文先生の題字は、私の曾祖父林平四郎にあてたものである。孫文先生が福岡に亡命しておられたときに、当時は衆議院議員(その後貴族院議員)だったので交際があり頂いたものである。子々孫々に亙る日中友好の絆を私は祖先から引き継ぎ、次に引き継ぐ責務があると思う次第である。

「北京週報日本語版」1997年No.39

 

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