第2に、これは日本が「外圧」に対抗しようとしていることを反映している。日本の政治・経済が衰退する間に、周辺の中国、韓国、ロシアはみな勢いよく発展していることに目を向けるべきだろう。中国は30年間の改革開放を経て、GDPで日本を追い抜き、世界第2の経済大国の座を奪った。産業構造などで日本と驚くほど似ている韓国も、意外にも世界金融危機の窮地から速やかに抜け出した。日本経団連は日本のGDPについて2013年にはインドに、2030年には韓国に追い抜かれるとも予測している。ロシアは長年かけて国力を養い、経済的にはすでに回復し、改めて台頭を図りつつある。こうした文脈の下、中韓露3カ国はみな領土・領海防衛の取り組みを強化している。中国は漁業監視船による釣魚島巡視活動をすでに常態化し、韓国は竹島、ロシアは北方領土の実効支配において開発や観光事業を強化している。これに対して日本はこれまでにない「外圧」を感じ、こうした「危機感」を国民に植え付け、国民全体の「外圧」対抗意識さらには行動を喚起しようと企んでいる。
第3に、これは日米「同盟」強化を反映している。冷戦後に結ばれた日米軍事同盟は、これまで一枚岩ではなかった。米国は日本と軍事同盟を結んだからといって、日本がロシアや韓国から「占領された」領土を取り戻す手助けをすることはなかった。冷戦終結によって米国は「超大国」としての頂点に達したが、国家意志の遂行に見合う経済力はすでになく、アフガニスタンやイラクへの攻撃の際のように、日本がその軍事行動に「従属」することを必要としている。だが、日本が「主導的に」出撃することは望んでいない。これに自ずと不満を抱いた日本は、現在では隣国との領土紛争を挑発し続ける手法で米国に態度表明を迫り、これによって米国を拉致し、日米軍事同盟における「主従関係」を変え、日本有事の際は手出しをして助けるよう仕向けようとしている。
これら全ては日本の一方的な願望であり、領土・領海書籍ブームの大きな背景と見なすこともできる。だが民意を煽動するこうした領土・領海書籍ブームは両刃の剣の可能性が高い。隣国との関係を損なうと同時に、最終的には自分自身も傷つけうるのだ。(編集NA)
「人民網日本語版」2012年5月9日 |