日本の野田佳彦首相は昨年の就任後速やかに、内閣府内に「宇宙戦略室」の設置を指示した。宇宙戦略室は今春設置される見通しだという。これを受けて朝日新聞は野田首相を「宇宙開発に熱心に注目する人物」と評している。(文:蒋豊・日本新華僑報編集長)
問題は、過去の首相と比べて、野田首相がなぜこれほど宇宙開発に注目するのかだ。野田首相は日本の宇宙開発をどこへ導こうとしているのか。
2008年に自民党、公明党、民主党の共同提出した「宇宙基本法」が国会で可決された。1969年可決の法律と比べると、当時は宇宙開発の原則として「非軍事」を打ち出していたのに対し、今回の法律では「安全保障に資す」ことを必須としたうえ、一定の範囲内で防衛利用を認めている。日本の宇宙開発の原則はこれを境に「非軍事」から「非平和」へ転換したとも言えよう。注意すべきは、当時野田氏が野党・民主党の国会議員として、この法律の制定に参加したのみならず、同法案の国会の立法チームの責任者でもあったことだ。こうして見ると、職業軍人家庭出身の野田氏がなぜ宇宙開発に熱心なのかが難なく理解できよう。
野田首相は就任後、宇宙開発を日本再生の「新分野」と位置づけ、「宇宙開発戦略本部」を基礎に「宇宙庁」を設置しようとしている。だが現在、日本の宇宙開発は一元的な司令塔を欠いている。文部科学省の下に宇宙航空研究開発機構(JAXA)があるが、情報収集を行うスパイ衛星は内閣官房が直接担当、気象衛星は国土交通省が運用、宇宙通信システムは総務省が担当、地球環境観測衛星は環境省が担当、防衛省は弾道ミサイル防衛を行い、外務省は宇宙開発外交を担当するなど、関連機関の数は10を下らない。現在日本政府は宇宙開発に毎年3000億円を拠出している。額は少なくないように見えるが、いかんせん配分先が多く、十分ではない。こうして野田首相は「宇宙航空研究開発機構設置法」の改正を指示。内閣府の「宇宙戦略室」設置に関する規定を盛り込み、国会に上程して、今年春の成立を目指す方針だ。日本の科学者で構成する「宇宙政策委員会」の設置も準備している。
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