狼とダンス
10年前の中国国内のWTO加盟関連報道を見てみると、ほとんどすべてのニュースメディアが「狼が来た」(「狼」は外資を指す)と騒ぎ立てていた。特に自動車産業について、関税が大幅に下がれば輸入車が中国の自動車市場を占領し、中国自動車工業は全滅するのではないかと懸念された。
「予想したような全滅という事態は起こらなかった。私たちが目にしたのは、予想を上回るスピードでの急成長だった」と饒氏は言う。
今振り返って考えてみると、当時の高関税は中国の立ち遅れた自動車産業を保護していただけでなく、最初に中国に進出した外資企業も保護していたのだ。中国のWTO加盟で全面的に開放された構造が出来上がり、すべての外資企業が進出してきて、外資企業間にも競争関係が生まれた。こうした競争の結果、外資企業が最高品質の車を中国に持ってくる必要が出ただけでなく、中国への投資で先進技術と管理経験がもたらされたことで、中国の自動車産業も大きく発展した。
国家発展改革委員会対外経済研究所の元所長で研究員の張燕生氏によると、WTO加盟当初最も懸念されたのは、自動車製造業や農業、金融業といった中国の弱小産業が市場開放後の国際競争圧力に耐えられるかということだった。しかし、WTO加盟から10年で、長期的に競争力が不足するのではと懸念されたこれらの産業は、開放市場経済条件下でそれぞれが競争優位性を持ち、急成長を遂げている。
外資という狼と対等にわたりあい「狼とダンス」を踊るために、中国も積極的かつ迅速な反応をとった。商務部の兪建華部長補佐は、「この10年来、中国は開放で発展と改革を促進する道を歩んできた」と言う。WTO加盟後わずか2~3年で、中央各部委員会だけでも、WTO規則に合致しない法律法規を2000余り整理し、500余りを廃止。地方政府が整理した文書を加えると、整理したものは9万件余りになる。
中国は今後、対外貿易を均衡発展戦略へと転じる。輸出を拡大する一方で、国際競争、国際交換、国際役割分担に積極的に参画すると同時に、エンド消費とエンド市場を世界に提供する国になっていかなければならない (高学余撮影)
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