定年退職を間近に控えた日本人が繁栄する中国で再就職するケースが増えている。英フィナンシャル・タイムズが報じた。
秋吉さん(64)は中国に来て3年になる。日本の家具メーカーで部品の購買を担当していた彼は、日本に帰国して退職の準備をするはずが、そうはせず、上海のある日本メーカーで生産マネージャーになった。
「私は中国で仕事がしたい。発展する中国では私の経験を生かすことができる」と秋吉さん。
秋吉さんのようなケースはけっこうある。不景気で日本人の多くが海外に職を求めざるを得ないのだ。
日本人の求職者の多くが、長年の経験や技術が中国で重宝されるのに気づき始めている。一方、中国側は海外の人材によって発展をさらに加速させたい。
日本のある人材紹介会社によると、中国に職を求める日本人が増えているという。同社の松田マネージャーによると、こうした傾向は、中国に開発拠点や販売拠点を置く日本企業が増えているからだという。たとえば携帯電話メーカーのソニー・エリクソンは7月北京に開発センターを設立した。
松田氏によると、中国に拠点を置く日本企業は日本から社員を派遣するコストを削減するため、マネージャーなど日本人の現地雇用を好む傾向にある。また、中国での仕事経験があり、中国語が話せる日本人は会社のために役立つ。
上海で行った最新調査で、中国の日本企業の3社に2社が製造業での経験がある日本人を雇用していることがわかった。同時に、サービス業でも日本人の需要が高まっているという。
松田氏は、「中国で雇用される日本人マネージャーの収入は半分以下に減るが、こうした人たちは経験と技術を生かせれば、収入はあまり気にしない」と話す。
松藤さん(55)は日本の食品会社を早期退職せざるを得なかったが、今では中国で再就職し、人材紹介会社Lead-Sの高級プロジェクト責任者を務める。
中国で働く日本人すべての収入が減るわけではない。
あるヘッドハンティング会社によると、経験のある日本人製造マネージャーをはじめ、太陽電池、電気自動車など先進技術分野で専門の技術経験をもつエンジニアは中国でも高給取りだという。
米マンパワーグループのダリー・グリーン副総裁は、「日本のエンジニアは新興国にとって経験の宝だ」と語る。同社は過去18カ月で日本人マネージャー1000人に中国での再就職を斡旋した。
「日本では要職を得られないエンジニアが、中国であれば高給かつ好条件で採用される。彼らが契約する時はまるで映画スターのような待遇だ」とグリーン氏は話す。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年11月22日