アジア太平洋経済協力会議(APEC)の第19回首脳会議が12、13両日、太平洋に浮かぶ米国の観光地ハワイで開催される。APECはアジア太平洋地域の経済統合プロセスを推進する重要な枠組みだ。中国の台頭と発展はAPECの機能と役割にとって掛け替えのない活力と原動力にもなっている。(文:朱鋒・北京大学国際戦略研究センター副主任。「人民日報海外版」コラム「望海楼」掲載)
APECの発足した1989年から今日までの22年間で、アジア太平洋地域の経済と戦略情勢には重大な変化が生じた。オーストラリアのホーク首相(当時)がAPEC創設を提言したのはアジア太平洋地域の協力拡充が目的だった。だが当時、この地域はまだ世界経済の柱ではなかった。それが今日では、域内の各主要経済国間の関係はかつてないほど緊密かつ堅固になり、アジア太平洋経済はすでに世界経済の重心になっている。APECに加盟する21カ国・地域は世界経済の54%、世界人口の44%を占める。アジア太平洋地域の発展促進に向けたAPECの政策努力は、21世紀のアジア太平洋経済の新たな現実に即したものでなければならない。世界経済の成長、自由貿易体制の発展、新たな貿易ルールの促進において、APECがより強力な「エンジン」の役割を果たせるようになるものでなければならない。
間もなく開催されるAPECハワイ会議の注目点は3つある。
第1に、アジア太平洋経済協力の新たな道筋をどう定め、始動するかだ。1993年以来、「ボゴール宣言」から「貿易円滑化行動計画」まで、「アジア太平洋自由貿易圏(TAAP)」から「環太平洋経済連携協定(TPP)」まで、アジア太平洋経済協力の制度化・緊密化計画は発展と格上げを数度経てきた。域内で同時に進められている「ASEANプラス1」「ASEANプラス3」「ASEANプラス6」、および依然9カ国しか参加していない「TPP」に目を向けると、いかにして重複を避けるかが問題として浮上する。アジア太平洋地域協力は一本化と、各国のコンセンサスを踏まえた軌道変更の必要な時期に確かに来ている。
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