作者:中国社会会学院日本研究所 厖中鵬博士
日本の野田首相が就任して1カ月余りが経ち、国内に山積する震災復興問題で思うように身動きがとれないものの、得意ではない対外関係では日米同盟関係の強化、東南アジア諸国を抱き込んで南中国海問題で中国を包囲、価値観外交の再提起、対中東のエネルギー外交強化など様々な方法を駆使し、才能を発揮している。
野田政権の1カ月余りの外交実践をみると、鳩山氏や菅氏の不明確かつぐらついた外交の位置づけを改め、自発的に打って出るとともに、日米同盟を柱とし、共通の利益のある国を抱き込み、各方面に展開する野田外交方式を構築しようとしている。
こうした野田内閣が進める日本の新外交について、野田首相が展開する外交の意図は何なのか、どういった狙いがあるのか問いたくなる。
まず、日本は日米同盟関係を強化したい。周知の通り、日米関係は日本外交の基軸であり、戦後60年以上日本のあらゆる外交の中心であり続けた。この中心から少しでも逸脱すると米国から重圧がかかり、国内における政権も危うくなる。
次に、最も重要なのは米国に協力して中国の成長の勢いを阻止しようとしている。昨年、世界経済ランキングで中国と日本の順位が大逆転して以来、日本は長年維持してきた世界第2の優等生の座を譲り、苦い思いを経験した。いわゆる民主、人権、イデオロギーなど価値観の近い国や中国の周辺国、中国と領土・領海で対立する東南アジア、インド、オーストラリアなどの国と手を組みいわゆる価値観同盟を築き、領土・領海問題を手始めに、民主的価値観を名目とし、中国東南・西南周辺に中国の発展を阻止する「チェーン戦略」を形成している。
最後に、日本は大国の夢実現に向け、戦後長い期間、敗戦国という立場から大国の地位を取り戻すとは言えないが、内心では大国の夢を見続け、国連安保理常任理事国入りを長年の夢としている。その夢を叶えるため、日本は南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に陸上自衛隊を派遣したと説明すれば納得がいく。
しかし、日本がいかにうまく計画を立てたとしても、その過程には様々な困難がつきまとう。野田内閣の支持率はすでに10ポイント下がった。長続きしない日本の内閣が長期的な外交政策に取り組むのは非常に難しい。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年10月20日 |