同志のみなさん、友人のみなさん
ちょうど七十年前の一九一一年、孫中山先生を指導者とする革命党の人びとが、歴史のふるい中国で清王朝をくつがえす革命をおこしました。この革命によって中国の大地に民主共和の旗がうちたてられ、中華民国が成立しました。これは中国の歴史で大きな意義をもつ革命です。今日の情勢のもとで、わが国の大陸の九億八千万同胞と台湾の一千八百万同胞が、ともにこの栄えある祝日を記念することは、とりわけ、大きな現実的意義をもっています。
胡耀邦同志
一、辛亥革命の歴史的功績
十九世紀の四十年代以後、中国がしだいに半植民地·半封建社会の国になってからというもの、帝国主義に反対し、封建主義に反対する中国人民の革命闘争は、一日たりとも中止されたことはありません。十九世紀の後期、中国の民族資本主義は初歩的な発展をとげ、ブルジョア階級が新興勢力として歴史の舞台に登場しました。ブルジョア·小ブルジョアの民族民主主義思想をもった愛国志士の指導する革命運動は、二十世紀のはじめには時代の潮流の先鋒となりました。この革命運動は民族の独立と民主共和国の樹立をめざす当時の全国人民の願いを端的に示すものでありました。すでに清朝政府が極端に腐敗し、国の主権を汚し、反動封建勢力の中心的代表となったばかりでなく、完全に帝国主義の中国支配の道具になりさがっていましたので、革命党は革命の武装力で清朝政府を倒すべきであるとだんこ主張しました。かれらのよびかけは広はんな人民大衆から擁護されました。毛沢東同志は、中国人民の近代における革命闘争の歴史において、辛亥革命は比較的いっそう完全な意義における反帝、反封建の民族民主主義革命のはじまりであると指摘していますが、こういう評価は全く正しいものです。
辛亥革命は独立、自由のブルジョア共和国を樹立するという所期の目的を果すことができず、中国は半植民地·半封建社会の地位からぬけ出すことができませんでした。しかし、辛亥革命の歴史的功績は不滅です。辛亥革命は中国を数千年にわたって統治した君主専制制度に終止符をうちましたが、これは中国の社会を大きく一歩前進させました。それ以後、民国初年の二回にわたる帝制復活の茶番劇はたちまち失敗し、またいかなる形の反動専制支配も失敗のうきめを見ざるをえなくなったのです。辛亥革命が帝国主義列強の意思にそむき、かれらの支持する清朝政府をくつがえしたということは、中国の運命は帝国主義の意のままになるものではないということを、近代史上はじめて立証しました。それ以後は、帝国主義を後楯とするいかなる反動勢力も、どんな強大な武力を擁していようと、さいごにはいずれも人民の反対にあって覆滅せざるをえなくなったのです。辛亥革命は思想の面での大きな解放をもたらしました。数千年来神聖不可侵のものとみられていた皇帝の権力もうち倒すことができた以上、反動的なたちおくれたもので改造できないもの、不可侵のものなどあるでしょうか。これは、ひきつづき創造的な精神を発揮し、先進的な思想を学び、たえず中国革命の道を探求して、勇敢にたたかう中国人民とかれらのなかの積極分子を大いに鼓舞、激励しました。