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中国都市発展と「中間所得層」

 

――中国では、「中間所得層」をどのように定義するかについて、政府当局・学界ともに基準が統一されていません。最も顕著な指標は何か、平均月収は何元くらいか……といった具体的なところがまだあまり明確ではないようですが、今回の『青書』ではパラメータの選択においてどのようなことを考慮しましたか?

中国では、今のところ確かに「中間所得層」概念に対する権威的定義がなされておらず、政府当局にも学術界にもまだ統一の定義基準がない。しかし中国が改革開放と中国の特色ある社会主義現代化建設を進める過程で、従来の産業労働者・農民とは違った、社会の中間層に位置する新たな社会階層が次第に分化してきたことは争えない事実だ。この階層が持つ社会資源(経済資源、組織資源、文化資源など)は社会構造の中間に位置し、所得と生活水準が比較的高く安定しており、世帯当たりの消費能力は比較的高く、流行と生活クオリティにこだわり、継続的で体面ある職業につく比較的高い就業能力と公民・公徳意識を持ち、一般的に高い教育を受けており、その労働や仕事の対象に対して一定の支配権を持っている。以上のような階層を「中間所得層」と定義した。

中間所得層は変動する社会階層で、経済社会発展水準の向上にしたがってその平均月収も増え続けている。具体的な所得金額は、科学的な方法で定義する必要があった。

今回の『青書』のパラメータ選択においては、次の点を考慮した。第1に、消費水準による階層分けの手法を採用した。階層分けの基準に、職業・所得、教育水準ではなく消費水準を用いたのは次のような理由による。まず、中国は経済構造と所得分配のメカニズムが転換する過程にあり、所得の2つの分配系統の共存や「隠性収入」(副業などによる表に出ない収入)が広範に存在しているため、職業と所得を社会階層分けの主要指標とすることには大きな限界がある。また教育水準は、住民の所得水準や消費水準、消費方式、消費理念などに比較的大きく影響するが、中国の高等教育がエリート教育から大衆教育になったのにともなって、教育水準の社会階層分けの機能はますます弱くなった。その点消費水準は、「収入に合わせて支出を決める」という考え方が住民消費行動を依然として主導し消費信用体系がまだ不完全な現状において、直接住民の所得状况を反映でき、しかも住民の文化的素養、思想観念、消費習慣、消費嗜好などを体現することができる。今回の『青書』では都市部中間所得層のエンゲル係数を0.3~0.373の間と定義した。第2に、このエンゲル係数閾値をもとに、それに対応する所得指標の閾値を推計した。今回の『青書』は計量経済学モデルを用い、1978~2009年をサンプル期間として、都市部住民世帯のエンゲル係数と1人当たり可処分所得の長期的バランス関係と時間推移にしたがって変化する数量関係を確定し、2009年中国都市部中間所得層の世帯当たり所得の閾値を下限1万6200元、上限3万7300元に確定した。第3に、所得指標の閾値をもとに都市部中間所得層規模を推計した。『中国統計年鑑』の所得等級ごとの都市住民世帯基本状況関連データをもとに、統計法を用いて中国都市部中間所得層規模を推計した。

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