消費税引き上げには政治的なリスクが伴うが、野田新首相にはそれほど大きな迂回スペースは残されていない。これまで述べた二つの動機、すなわち財政収入を早急に増やし、日本の債務の山に対する国際的な懸念を早急に緩和するという動機のほかにも、日本の経済情勢がそれほど楽観できるものではないという差し迫った状況がある。日本の総務省がまとめたデータによると、日本の7月の失業率は4.7%で、前月比0.1ポイント上昇し、2カ月連続での上昇となった。日本銀行(中央銀行)のデータによると、日本の国内銀行の月間平均貸付金残高は前年同月比1.9%減少し、2月は同1.9%、3月は同1.7%、それぞれ減少した。日本の20年に及ぶ経済低迷の本質は、貸借対照表の大幅な衰退だ。野村総合研究所の辜朝明(リチャード・クー)チーフエコノミストの大衰退理論によると、現在の日本経済は「陰」の経済状態にあり、企業は利益最大化ではなく、負債最小化を目指して経営を行っている。努力して生産し、一所懸命に借金を返し、新たな借金を断固として拒絶しているという。このため日本がゼロ金利政策を行っても、企業は銀行の資金を洪水や猛獣のようにみなして、決して資金を借りようとはしない。2008年以来の世界金融危機がまだ立ち去っておらず、日本企業は薄氷を踏むように一層慎重になり、資金ニーズがさらに冷え込み、どのような通貨緩和政策をうち出しても企業を誘惑することは難しい。よって経済を刺激して、日本のGDPが大幅に縮小したり、より大きな社会の混乱をもたらしたりしないよう保証するには、財政政策によって経済を刺激するしかない。だが財政刺激政策が断続的に今日まで続いていることから、日本の債務率は250%にもなった。どうしたらよいか。増税するしかない。
こうしたわけで、野田新首相にはせっぱ詰まって消費税引き上げる以外の選択肢はないともいえる。最もよくないのは、消費税率を引き上げたものの、消費が冷え込み、税収が減少し、新首相が橋本元首相の悲劇を再現するというシナリオだ。日本が財政状況を改善する新たな道を歩むという別のシナリオを期待する。日本経済は泥沼の中で20数年間はいまわり、かなり元気を回復しているのだ。現在、増税プランを実施することは危険な手ではあるが、試してみる価値はある。(編集KS)
「人民網日本語版」2011年9月5日 |