「人民日報」の特約評論員を務める同済大学経済・管理学院の石建勛教授はこのほど、米国債の格付け引き下げをめぐり次のような論考を発表した。
5日の晩、米国の三大格付け会社の一つであるスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が、米国債の格付けを最上位の「AAA(トリプルA)」から「AA+(ダブルAプラス)」に一段階引き下げるとともに、今後の格付けの見通しを「ネガティブ(弱含み)」にすると発表した。米国はこれまで約100年にわたって最上位の格付けを維持しており、格下げされたのは史上初の出来事で、世界中の注目が集まっている。
S&Pの指摘によると、格下げの主な原因は、米国政府と議会が決定した債務上限の引き上げは、S&Pが期待する中期債務の安定維持には不十分とみられることだという。今回の発表に先立つ今月3日、中国の格付け会社・大公国際資信評估有限公司は米国の主権債務の格付けを「Aプラス」から「A」に引き下げ、今後の見通しを「ネガティブ」とした。同公司によると、債務上限の引き上げは米国債の増加水準が米国の経済全体の伸びや財政収入の伸びを上回るという事実を転換させるものではないという。
今回の格下げは、金融の格付け引き下げでもあれば、政治の格付け引き下げでもあり、米国の政治指導者の能力と節操とに疑問が呈されたということでもある。今月2日まで、米国の共和党、民主党両党はそれぞれの選挙対策にかかずらって、国の信用をないがしろにし、債務上限引き上げをめぐる「政治的ドタバタ劇」を演じた。最終期限の一日前になって妥協点を見つけたが、すでに時機を逸しており、世界中の人々に米国には債務の約束違反という巨大なリスクが発生する可能性があることを知らしめた。
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