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評論  
教科書問題 歴史教育の「土壌」を洗浄すべき

 

横浜市教育委員会は4日、来春から全市立中学147校で侵略戦争を美化する内容の歴史教科書を採用することを決めた。これにより、毎年3万人の子供たちが歴史を歪曲し、心を汚す教科書を使用することになる。

この教科書を出版する育鵬社は、かつて「新しい歴史教科書をつくる会」と協力した扶桑社の傘下の出版社である。「新しい歴史教科書をつくる会」と扶桑社は歴史の事実を歪曲し、日本の侵略戦争を美化する教科書を共同出版し、これらの教科書の全国の小中学校での普及に取り組んできた。

育鵬社によると、横浜市のほかに、東京都立の中高一貫校、神奈川県藤沢市教育委員会、栃木県大田原市教育委員会も同出版社の歴史教科書の採用を決定した。東京都杉並区と愛媛県今治市の私立中学は、すでに扶桑社が出版する歴史教科書を使用しているという。

このような教科書に隠された危害は非常に大きい。横浜市で教育事業に携わるある女性は、育鵬社版の歴史を学んだ中学生の自分の娘がその時期の歴史に対して正確な判断ができないのではないかと懸念を示す。

横浜市教育委員会のこの決定は、大多数の市民の正義ある声を完全に無視している。育鵬社と自由社の歴史教科書の採用に反対する民間団体「横浜教科書採択連絡会」は、再検討を求める署名10万人分を同市教育委員会に提出したが、何の回答も得られていない。多くの市民は、教育委員会の歴史を美化した教育の子供たちへの押し付けは、教育を受ける権利と教育を受けさせる権利を踏みにじる行為だと指摘する。

しかし、これらは横浜市などの教育委員会の独断ではなく、その背後には文部科学省の黙認、さらには容認がある。文部科学省が発行する新学習指導要領を見ると、第二次世界大戦前後の歴史教育、特に侵略戦争に関わる内容において重点を避け、美化するよう仕向ける傾向すらある。実際にこれらの歴史を歪曲した教科書は、文部科学省の検定を通らなければ各地の教育委員会で検討されることはない。

福島の原発事故により、県内および周辺の多くの学校が放射性物質に汚染されたことは記憶に新しい。子供たちのきれいな校舎を取り戻すため、多くの学校は汚染された土壌を除去し、子供たちの心身への影響を極力減らそうと取り組んだ。放射能汚染は目に見えないものだが、その害は長く続く。歴史教育の「土壌」から「汚染物質」が見つかれば、子供たちの心身に同様に目に見えないが深い影響を与えることになる。

汚染された土地は不毛の地となり、奇形植物が育つ可能性もある。「汚染」された歴史教育は、子供たちの歴史観と価値・倫理観を誤った方向に導き、極端な右翼的思考を芽生えさせることにもなりかねない。横浜市などの学校は歴史教育という場において徹底的な「洗浄」を行うべきではないか。

発生したばかりのノルウェー連続テロ事件が警告するように、今日の極端な民族主義の放任は、明日の悲劇となる可能性がある。

「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年8月5日

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