Imprimer cet article

Commenter cet article

井戸を掘る人々
──中国で、日本で、暮らして
 
~元北京駐在員のつぶやき~
25年前との比較による上海の発展とその問題点

須賀 努

25年前、私は上海の復旦大学に語学留学した。正直に言う、あの頃も上海は中国一の経済都市だったと思うが、今日これほどまでに発展すると考えていた外国人など誰もいなかったであろう。いや、当時はこの都市の明日はどうなってしまうのか、という心配が先にあった。その上海は今や大きく変貌を遂げ、25年前の面影を探す方が難しい。

留学中の思い出はいくつもあるが、何と言っても大学から街までが遠く感じられたことは印象深い。五角城から外灘まで、10㎞ちょっとの道のりを1時間以上掛けてバスは走っていた。常に超満員、降りる人が優先などというルールもなく、車掌さんから切符を買うのも一苦労。バスは常にノロノロ運転。途中で派手な夫婦喧嘩に出くわし、バスの窓からじっくり拝見したこともある。古き良き時代であった。

当時は家庭に冷蔵庫などなく、市場で生きた鶏を買い、買い物かごに押し込んでバスに乗ってくるおばさん。私の足元で鶏が嘴をとがらせていた姿は懐かしい。10年後外灘の和平飯店前を歩いていると55番のバスがやって来た。つい習慣で乗り込んだが、冷房バス。車内から鶏も姿を消し、道もよくなり、あっと言う間に風景が過ぎて行った。時間も30分に短縮されていた。そして今、外灘から五角城までは地下鉄10号線で30分も掛からない。しかも以前は何もなかった五角城が今や大きなビルに取り囲まれ、母校復旦大学へ行く方向され、見失ってしまうほど。

上海の地下鉄はここ1-2年で一体何本開通したのだろうか。万博への対応で一度に何路線も出来、地下鉄の総延長距離は既に東京を越えていると言う。今や上海人でも地図を見ないと乗り換えを間違う。しかしこれにより、上海市内は大体どこに行くのも地下鉄で済むようになった。最低は3元、普通で4元、北京の2元に比べれば高いとも言えるが、渋滞も避けられ、便利この上ない。2020年までには更に現在の2倍の地下鉄が登場する計画だと言う。

今回4月に自らの上海留学25周年を祝うために、上海を訪れた。そして思う存分、地下鉄を利用して、旅を楽しんだ。そこからは上海の発展ぶりと良い点、更には新たな問題点が見えてきた。

地下鉄と言っても、郊外へも行く。東京でいえば、JRと私鉄と地下鉄を合わせたものと考えればよい。とうとう最終日には市内中心より浦東空港まで地下鉄2号線で行ってみた。2時間ほど掛かり、決して便利とは言えないが、料金は僅7元、タクシーで行けば恐らく100元以上は掛かるので、格安。東京のように最低でも空港に行くのに1000円以上掛かる都市と違い、上海には選択肢がある、と言える。

1   2   次のページへ  

北京週報e刊一覧
トップ記事一覧
アフリカ食糧問題に再び警鐘
野田新首相は「強硬論」問題をはっきりさせるべき
「ドリームチーム」が創り上げる「夢工場」
西部は中国の経済成長ポイントとなるか?
特 集 一覧へ
中国共産党創立90周年
チベット平和解放60周年
現代中国事情
中国の地方概況
· 北京市  天津市 上海市 重慶市
· 河北省  山西省 遼寧省 吉林省
· 黒竜江省 江蘇省 浙江省 安徽省
· 福建省  江西省 山東省 河南省
· 湖北省  湖南省 広東省 海南省
· 四川省  貴州省 雲南省 陝西省
· 甘粛省  青海省 台湾省
· 内蒙古自治区
· チベット自治区
· 広西チワン族自治区
· 新疆ウイグル自治区
· 寧夏回族自治区
· 澳門特別行政区
· 香港特別自治区