西蔵(チベット)は中国の河川の源であり、生態環境の源でもあり、現在、3分類10項目の生態環境保護・建設プロジェクトが行われ、国の生態環境の安全を守るカベとなっている。こうした背景の下で、西蔵は極めて特色ある工業化の道を歩んでいる。
2010年に行われた中国(上海)万国博覧会(上海万博)の会場や北京市と天津市を結ぶ京津高速鉄道の車内で、多くの人が「5100ミネラルウォーター」を目にしたが、このブランド名の由来を知る人はそれほど多くないとみられる。この商品は念青唐古拉山の南山麓の海抜5100メートルのところにある氷河で採水したところから名付けられた。リチウム、ストロンチウム、メタケイ酸などのバランスが人体に適しているため、珍重されるミネラルウォーターとなった。青蔵鉄道が開通したことにより、現在では全国に普及し、すべての省都都市と多くの大・中都市に専門店があるほか、北米市場にも進出を果たした。このほか優良な資源を利用して開発された裸麦ビールや甘露蔵薬は、国内市場はもとより海外市場にも進出し、製造メーカーは西蔵の新型工業企業の中心として日々成長を遂げている。
西蔵は鉱物資源が豊富で、これまでに発見された鉱物資源のうち、18種類は埋蔵量が全国10位以内に入り、12種類は同5位以内に入り、クロムと銅は全国トップだ。西蔵は国の戦略資源備蓄拠点に位置づけられている。西蔵の鉱物産業の発展では、「環境の優先」と「保護を前提とした開発」が遵守すべき大原則だ。西蔵華泰竜公司、西蔵盛源鉱業集団、西蔵高新建材集団、西蔵天路建築工業集団といった資源面での優位性を備えた企業が、西蔵の工業経済の発展を牽引する新たなエンジンとなっている。
このほか西蔵絨毯、西蔵香、タンガ、西蔵式食器、西蔵式家具を代表とする民族手工業が盛んに発展しており、勢いある一連の中小企業が形成されている。観光客向けの工芸品メーカーに指定された企業は56社あり、生産される製品は800種類を超える。こうした数多くの素晴らしい工芸品は、神秘的で華麗な西蔵文化を今に伝えるもので、欧米市場や東南アジア市場にも進出している。手工芸品の製作は多くの農牧民にとって主要な収入源だ。
「人民網日本語版」2011年5月24日 |