林国本
最近、北京、上海、大連、天津など日本の企業が多数進出している中国の大都市では、日本料理店が次々と出店しており、かなり繁盛しているようである。
当初、中国人のかなりの人たちは、生ものを食べる習慣がなかったので、日本料理店はマイナーな存在であったが、日本に留学した人たちが多数増え、日本旅行もかなりハードルが低くなり、さらには日本のファッション誌やタウン・ペーパーなどのPRなどもあったせいか、認知度がかなり向上している。もうイタリア料理、フランス料理などと肩を並べられるようになっている、と言っても過言ではない。
かつては、値段のほうも割高なので、敬遠されていた時期もあったが、最近は食材を中国近海産のものにしたせいか、それほど高くはなくなり、特にどこから流れてきたのか、日本料理はダイエットに向いている、というウワサが口コミで広がり、北京などでは日本料理が若い女性の間で人気になっている。
私も、ときどき仕事のお付き合いで、若者たちとの打ち上げなどでは、いつも日本料理に舌つづみを打っている。若者たちはGPSなどでサッと適当な店をさがすコツを知っているので、私もその恩恵をこうむっている。
しかし、厳格に言えば、ほとんどのお店は日本でいう居酒屋スタイルのものなので、五つ星ホテルの高級日本料理店のようなムードではないが、これは文化、生活習慣とも関連がある。ただ、ありがたいことに中国は土地が広いせいか、日本の居酒屋のような雰囲気ではなく、結構ゴージャスなお店もある。
中国もマクドナルドやケンタッキーで育った世代がどんどん増えているので、中国料理そのものも時代とともに変わりつつあるようだ。
今回の東日本大地震で、日本の料理は大丈夫かと懸念する人もいるが、中国のメディアも、国連や日本側の公表データーを流して、国民に心配ご無用ということをくり返し伝えているので、風評被害らしきものはまだ見かけない。
私は長年仕事で日本に滞在したので、日本料理店はもっとメニューを増やしてはどうかと思っている。一例をあげると、私は岐阜県の郡上市8幡の居酒屋で食べたアユの塩焼きなどは中国では大人気になるのではないかと思っている。
伝え聞くところによると、今や上海、北京、大連、天津などでは数万人の日本人が在住しており、日本語を勉強している人の数も数万人にのぼる。さらに日本へ観光旅行に行った人の数もどんどん増えている。これは日本料理店にとってはビジネス・チャンスと言ってもよい。
私の知人でフランス語を勉強した人がいたが、日本へ観光に行ってからは日本料理の大ファンになって、いつも会食となると、みずから名乗り出て、アレンジしている。もちろん、あまたある世界各国の料理の中で日本料理がランキングスリーぐらいに入るところまで行くのは、食生活の多様化から無理としてもマイナーから抜け出すことは大いに可能であると思っている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年5月5日 |