私は原発については、まったくの素人であるが、日本の専門家の書いたものを見ると、発電のテクノロジー、メカニズムの面での研究はかなり進んでいるが、事故とか、解体工事についての研究は実例が少なかったせいか、まだ遅れているようだ。今回の福島原発のケースをテレビの映像のみで見ても、電力会社の専門家集団とも言える人たちが、かなりてこずっているように見える。これはそういう経験が過去になかったから、試行錯誤で最善の策を探し求めているからだと言ってもよい。しかし、チェルノブィリなどの例を知っている一般市民、周辺住民の不安、あせりも理解できる。これは要するに人類全体の問題である。そして、私見ではあるが、いくら危険なものであっても、新エネルギーとしての原発を否定するのではなく、これをキッカケに最善の安全システムをつくり上げることが必要である。
とはいうものの、私も一市民であるので、いま中国で人気上昇の日本料理のサシミ類は当分避けた方がいいのではないか、という過剰反応らしい、傾向がないわけではないが、こういう時こそ、冷静な、科学的思考が必要なのではないかとも思っている。宇宙開発にしても、航空機の開発にしても、リスクは伴うものである。リスクを恐れていては、人類の今日、人類の未来はない。大勢の人たちが亡くなったことは悲しむべきことだが、私はこういう時こそ未来に目を向けて、胸を張って困難に立ち向かっていくべきだと思っている。
最近、友人にある書物の校閲を頼まれ、その中に新中国を築き上げるためにたたかった集団の中に、出発当初30万人もいたものが延安にたどり着いたときには3万数千人しか残っていなかったという叙述が出てくる。中国の近代化のためにどれだけの代償を払ったのか。これと原発とは次元は違うが、しかし、新エネルギーや地震との戦いで、あとずさりしてはならない、と言えるのではないか。
日本の大地震は大変なことだが、これも人類がさらに前進するため避けて通れないステップのひとつと考えたい。かさねて、亡くなった人たちのご冥福を祈る。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年3月30日 |