鐘 欣
2011年の「両会」(全国人民代表大会・全国政治協商会議)が北京で開幕し、注目を集める「十二五」(第12次5カ年計画)綱要が審議される。中日両国の国内総生産(GDP)の順位がポスト金融危機のこの時期に入れ替わり、中国との互恵を期待する日本経済はこれまで以上に「十二五」時期における好機をしっかりと捉えて、「共同の利益」を目指さなければならない。
日本企業が中国で展示した日本風のお土産やアクセサリー(劉頴撮影)
先ず、中国が経済成長方式の転換を加速することで、日本に輸出をさらに拡大する好機が訪れる。07年に日本にとって最大の貿易パートナーになって以来、中国の貿易における比重は年を追うごとに上昇、10年には前年(20.5%)に比べ1.8ポイント増の22.3%に達した。中国共産党第17回党大会は報告の中で、経済発展方式の転換を加速し、内需の経済成長へのけん引的役割を拡大することは、日本の対中輸出の拡大にとって間違いなくチャンスとなると指摘。日本財務省のデータによると、日本の対中貿易赤字は5年連続して縮小しており、10年は3208億円となった。
影響がいまだ残る国際金融危機によって、世界経済の成長モデルは持続不可能である、先進国の過度の消費が世界経済の成長をけん引するために必要な原動力の構造が変化しつつある、新興市場国の需要増大が短期内に経済発展を主導する力を完全に担うのは難しい、ことなどが明らかになった。中国経済はこの30年近く高度成長を維持してきたが、将来も永遠に続く可能性はなく、日本は現在の中国の高度成長にある市場のニーズをしっかりと捉えなければならない。「十二五」では、「経済発展方式の転換を加速することを主体に」、内需拡大などを土台に経済をさらに成長させることを明確に打ち出した。日本政府と企業はいかに中国の経済構造の戦略的調整の好機をしっかりと捉えるか、日中の経済協力でより多くのチャンスを模索するか、詳細な計画を策定する必要がある。
第2は、中国国民の所得倍増計画は日本企業の中国市場での拡大にプラスとなる。「十二五」では消費の増加とくに住民の消費が経済成長をもたらすけん引的や役割をことのほか強調しており、多くの省・直轄市がすでに公表した「十二五」も、日本の当時の国民所得倍増計画を真似ているは明らかだ。実際、中国は旺盛な購買力のある中間層や富裕層が徐々に形成されており、また中国は日本にとって最大の輸出国であり、中国国民の収入が倍増すれば、日本企業は利益を得るだけでなく、対中輸出もさらに増えるだろう。
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