教会訪問の二時間後、鄧小平氏はブッシュ大統領と会見し、「中米両国関係になお若干の問題があるとはいえ、安定した発展をとげている。大統領の任期中、両国関係がいちだんと発展するよう希望している」と述べた。ブッシュ大統領は鄧小平氏の両国関係に対する見方に完全に賛同すると表明した。
鄧小平氏は、中米関係に存在する具体的問題には触れなかったが、一般の見方では、主なものは台湾問題だとされている。李鵬総理はブッシュ大統領と会談した際、中国は台湾問題を特別に重視していると指摘し、「アメリカの少数の人はあれやこれやの問題で中国の政策に影響を与え、中国の内政に干渉しようとしている。こうしたやり方が政府関係者から出るようなら、すでに中米両国間に存在している好ましい関係に必ずや暗い影をさすことになろう」と述べた。
ブッシュ大統領は、「アメリカは一つの中国という政策を堅持し、ひきつづき米中の三つの共同コミュニケの原則を順守する。アメリカがこの政策を明らかにすることは、台湾島内の分裂主義者の活動に反対だということを示すためである」と述べた。
三つの共同コミュニケは、上海共同コミュニケ(一九七二年二月二十七日)、国交樹立コミュニケ(一九七八年十二月十五日)、八·一七共同コミュニケ(一九八二年八月十七日)である。ブッシュ大統領が中国を離れた日は、上海コミュニケ発表十七周年の記念日であった。上海コミュニケには、「アメリカは台湾海峡両岸のすべての中国人がみな中国はただ一つであり、台湾は中国の一部であると考えていることを認める」という極めて意義深いことばが明記されている。
中ソ関係について、鄧小平氏は、「中国はソ連との関係正常化を実現し、ゴルバチョフの改革が成功を収め、米ソ関係が改善されるよう希望している」と述べた。
ブッシュ大統領は、アメリカがゴルバチョフの訪中を歓迎し、中ソ関係の改善を歓迎しており、これは平和と安定にプラスとなると述べた。
趙紫陽総書記はブッシュ大統領と会見した際、中国は他国に自国の制度を輸出せず、他国の制度を丸写しにすることもしないと指摘し、つぎのように述べた。
現在、中国には、極端に走り、また互いに影響しあう二つの観点がある。一つは、改革がダメになったと不平をいい、後戻りをしようとする動きである。もう一つは、改革で出てきた困難を政治的原因のせいにして、西側の政治を導入することでそれを解決すべきだと主張することである。
第一の観点では人心が得られない。第二の観点の根本的問題は中国の国情を無視していることであって、実現できるものではない。そのような観点が広まると、改革推進の阻害力となり、改革を挫折させたり重大な結果をもたらすことになる。
アメリカ社会には、中国政府に不満をもつ者を支持する人も一部いるが、こうしたことは、中国の政局安定、改革推進にとってマイナスであり、中米友好にとってもマイナスである。
「北京週報日本語版」1989年No.10
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