「レーガン大統領の訪問は、率直で誠意ある対話が中米間の相互信頼を深め、確固とした永続的な関係を築くための掛け橋であることをあらためて証明した」―趙紫陽総理は四月二十八日、レーガン米大統領夫妻の催した答礼宴でのあいさつで、レーガン訪中の意義を強調した。
レーガン大統領は六日間にわたる中国訪問中に、中国の指導者たちと会見、五月一日に帰国の途についた。
中米両国政府はこの間、二重課税を防ぐための租税協定など四つの協定·議定書、文化交流に関する取り決めに調印し、原子力平和利用協定に仮調印した。
レーガン大統領は一九七九年の国交正常化後に訪中した初めての米国大統領で、この訪中は中米関係の発展を示す意義深い出来事といえる。両国は、三つの中米共同コミュニケに貫かれた原則を堅持することによって両国関係のいっそうの発展を促す必要性をともに表明してきたし、経済協力、技術協力の拡大にも大きな余地があることを認めている。
レーガン大統領は四月二十六日の北京入りにあたって熱烈な歓迎を受けた。李先念国家主席が歓迎式を催し、復活決定後初めて二十一発の礼砲が北京の空にとどろいた。
翌二十七日午前、ナンシー夫人はもっとも小さなパンダの子チェンチェンに会いに北京動物園を訪れた。ナンシー夫人はその際、パンダ募金で集まった一万三千ドルとジープ二台を中国野生動物保護協会に贈った。このパンダ募金はナンシー夫人がアメリカの子供たちに呼びかけたもので、今回はその第一回分。
レーガン大統領は二十八日、中国の代表的な経済学者、企業管理者、科学者、技術者、教育関係者計六百人以上を前に演説した(要旨は一七ページに掲載)。また、三十日にも上海の復旦大学で学生、教師に講演した。
大統領夫妻は公式行事の合間に、北京では万里の長城を、西安では秦の始皇帝陵の兵馬俑博物館を参観した。
二十七日夜に開かれた大統領歓迎の宴会で、ホスト役の趙紫陽総理は要旨、つぎのようにあいさつした。
▽「レーガン大統領は中米関係の発展を重視し、これに関心を示した。両国関係を船にたとえれば、双方の努力によって、この船はこれまでに増して暗礁をはっきりと見きわめ、前進をつづけられるようになった」。
▽両国関係には、国交正常化以来、多くの分野で注目すべき進展があった。しかし、困難と障害があることも認めなければならない。その主なものは台湾問題である。
▽「重要なのは、一九七二年以降に両国政府が発表した三つの共同コミュニケには、そうした障害をどのように排除していくかについて明確に述べられていることである」。
▽米政府指導者がそのコミュニケを守り、「一つの中国」の政策をとると、くりかえし約束していることを歓迎する。われわれとしては、この約束が実際行動として真剣に貫かれることを期待する。また、双方がひきつづき努力することによって、中米関係をすべての分野で長期にわたって着実に進展させていきたい。
レーガン大統領はさまざまな問題について、中国の指導者と意見を交換した。呉学謙外交部長とシュルツ国務長官の間にも、数多くの接触があり、二国間関係の発展に役立つ意見交換が行なわれた。
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