クロンカイト アメリカはイランに強い関心をもち、あなたも強い関心をもっており、また、あなたが連合してソ連の覇権行為を阻止することを提案していることから、あなたはイランにおけるソ連の侵略を阻止するため、われわれがともになんらかの行動を起こすべきだ、と思われませんか。
鄧 いまのべたように、この特殊な地域におけるわれわれの役割は微々たるものであり、なすすべがない、とさえいえます。もしわれわれがささやかでも力を貸せるなら、われわれはきっとそうするでしょう。
レーラー 副総理、あなたがこの国に来てから発表したソ連にかんする談話は、SALTⅡにおけるカーター大統領の立場を変えようとするものだ、とみている人もいます。あなたの意図はそこにあるのですか。
鄧 そういう意図はありません。さきほどのべたように、ソ連と交渉したり、そういう協定を結ぶことにわれわれはべつに反対しているわけではなく、ある程度必要だとさえいえます。
わたしはただ、こうした協定に希望をつなぐことはできない、そういうものはソ連を抑止するのに大した役にたたない、といっているだけです。
レーラー 今朝、あるコラムニストが副総理に、カーター大統領を中国に招いて中国のソ連政策についての批判をきく気持はあるか、という問題を出していますが。
鄧 批判が当を得ていれば、歓迎します。われわれはアメリカの政策を何ら批判してはいませんが。わたしがアメリカで話したことは、なにも新しいことではなく、なが年、中国の指導者たちがいってきたことです。
レイノルズ もし台湾人民、台湾の人民と政府が自由意思にもとづいてあなたがたと再統一することを拒否し、またアメリカが共同防衛条約廃棄後もひきつづき台湾人民に防御兵器を供与するとしたら、あなたがたは統一のために武力行使以外の選択がありますか。
鄧 われわれは平和方式で台湾の祖国復帰と中国の統一を達成することに全力をあげます。
レイノルズ 副総理は、いったん平和的手段を放棄したら、アメリカが武力で抵抗するかもしれないことになんら疑いをもちませんか。
鄧 いや、問題はわれねれがはじめから武力行使しないことを認めれば、それはみずからの両手を縛るにひとしくなり、その結果、台湾当局に、われわれと平和統一の交渉をすすめる気持をまったくなくさせるだけで、そうなるとかえって武力による問題解決に行きついてしまう。
ブリンクリー 副総理、今回の訪米で友情と善意のほかにあなたが、もっとも望んでいるのは何ですか。
鄧 中米関係の正常化により、今回の訪問を通じわれわれは、政治、経済、科学、技術、文化その他の分野での関係に広い展望がひらけることを期待しています。
ブリンクリー あなたがたは西側から技術を導入しながら、伝統的な中国文化を確保していけると信じていますか。
鄧 必ず確保していけると思います。
クロンカイト 副総理、われわれはあなたがこの地で達成した合意について知り始めたばかりです。あなたはまもなく、ホワイトハウスでいくつかの協定に調印することになっていますが、会談の過程でカーター大統領と意見の合わなかった点は何ですか。
鄧 われわれの方式は一方の見解を押しつけることなくそれぞれ各自の見解を表明するというものでした。したがって、会談は非常になごやかでした。
クロンカイト われわれ両国のこうした、たのしいハネムーンの期間に、主にどんな危険があると思いますか。
鄧 危険は見当りません。ハネムーンはつづくでしょう(笑声)。
レーラー しかしこのインタビューはもうつづけられません。副総理、もう時間切れなので、心から感謝の意を表してこれで終わることにします。
「北京週報日本語版」1979年No.7