レーラー ではこの回答を、中国はカンボジア問題をめぐって戦争する用意があるという肯定的な意思表示と受け取ってもよろしいか。
鄧 われわれのカンボジア支援の立場は確固不動です。だが、どんな措置をとるか、いかにこの問題に対処するかはまだ検討を必要としま才。このような問題は、われわれの側だけで決まるものではありません。
レイノルズ 副総理、近年、中国には大きな変化が起こりました。あなた自身はもう高齢に達しておられます。あなたは二度はなはだ急に権力を奪われたことがあります。あなたがひきつづき当局者であり、あなたの近代化政策が西側への新たな開放と西側との協力を持続させることをアメリカに保証する何がありますか。
鄧 正しい政策の持続は個人的要素で保証しうるものではありません。
肝じんなことはこれらの政策が正しいものかどうか、人民が賛成するかどうか、人民に有益であるかどうかです。これらの政策が正しいもので、人民に有益であり、人民の支持を得るなら、それはこうした政策の持続の根本的な保証となります。
レイノルズ 言わせて頂けるなら、閣下、人民にこれらの政策に同意させようとしていろ人たちがいるのは確かですが、現在中国の指導者の中には、西側の影響、西側のような工業化は中国社会の純潔をけがすとして留保の態度をとっている人もいるのではないでしょうか。
鄧 わたしはあなたにはっきり申しあげるが、この点については、中央の指導者、さらには地方の指導者、全国人民も一致しています。
われわれの指導者のなかには、わたしのように高齢のものもいるが、中年、青年もいます。われわれが現在実行している政策が正しいものであり、方針、政策、措置が正しいなら、こうした政策が続くことはまちがいありません。
ブリンクリー 副総理、あなたは先週、アメリカは七〇年代初期から戦略的に後退している、と言われたが、あなたの見解とそうした見解をもつにいたった理由を説明して頂きたい。
鄧 わたしは戦略的後退とはいっていない。かなり前からソ連は攻勢にあり、アメリカは守勢に立っている、といったのです。われわれはずっと、新たな世界大戦をひき起こし得るのはアメリカとソ連だけだが、その位置が変化したため、現在、戦争の主要な温床はソ連だ、とこう見ています。
ブリンクリー あなたはさきほどの回答で中国、アメリカ、日本、西欧が対ロシア政策を協調させることに触れられたが、ロシア人は、かれらが包囲され、集中攻撃されると感じたなら、どんな反応を示すでしょうか。
鄧 かれらは全世界人民の反対を無視するわけにはいかないでしょう。わたしは終始、覇権主義を真に抑止し拘束する作用を果たすのはあれこれの条約、あれこれの決議ではなく、断固たる、着実な共同行動である、と考えています。わたしも交渉、あれこれの協定への調印、あれこれの決議の採択も必要だとは思いますが、われわれはそうしたものを頼りにすることはできません。そういうものの中に保証を求めることはできません。
クロンカイト 一つの具体的なケースをとりあげましょう。われわれはソ連の覇権と対決するための何らかの共同行動を見出すことができるかもしれません。副総理、あなたはソ連に利益をもたらすかもしれないイラン情勢に関心があると思いますが。
鄧 世界の他の国と同様、われわれもイラン情勢について関心をもっています。イランの戦略的位置は極めて重要です。中国としては、道義的にわれわれの見解を表明するだけです。われわれは多くのことをできる立場にありません。なぜなら、われわれはあそこではなすすべがないからです。なすすべのある国はイラン情勢を重視し、問題解決を助けるためより効果的な措置をとるべきだと思います。
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