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評論  
相互補完にある中米経済

中米両国の経済関係において協力もあれば摩擦もある、という局面が長期的に存在すると見なければならない。

于軍(国家行政学院教授)

米国には「貿易の背後に密着しているのは国旗だ」という言葉がある。それは、すべての二国間関係における経済関係の重要性を如実に物語っている。中米関係について言えばとりわけそうだろう。

中米関係は国交樹立後30年余りの間、総体的に前に向って発展してきたが、時に様々な波瀾や起伏が生じ、政治関係が混迷したこともあったものの、経済協力関係はほとんど中断したことはなく、安定した発展を続けてきた。貿易額は国交樹立前の年間25億ドル足らずから現在はかなりの規模にまで拡大しており、中米経済関係は当今の世界の2国間経済関係で最も重要な経済関係の一つだ。

互恵と相互補完

中米関係においては経済関係が重要な要素の一つだ。双方はこれを認識するまでに一定の過程を経てきた。ニクソン元米大統領が1972年に訪中した際、両国の主眼は旧ソ連と対抗すること、中米ソという三角形を呈する戦略的関係にあり、経済協力問題も取り上げられたが、二次的地位に置かれた。経済関係に重要な転換が見られたのは1992年。米国多国籍企業の先行組が改革・開放後の中国市場で利益を上げ、鄧小平氏の南方視察談話が発表されると、米国の大手企業のほとんどが中国市場に関心を持つようになった。対中投資は年間数億ドルから数十億ドルに増えていった。現在、米大手500社のうち約400社が中国に進出するなど、経済貿易関係という要素が中米関係に占める重みはますます増しつつある。

中米関係は中国のWTO加盟後に新たな段階に入った。米通商代表部の統計によると、2004年の両国の貨物貿易総額は2314億ドルに達し、中国は米国にとってカナダとメキシコに次ぐ米国の第3の貿易パートナーとなり、第4の日本をはるかに引き離した。中国のWTO加盟による効果は繊維製品の輸出でとりわけ際立っている。米国が十数品目の繊維製品に対する割当額を取り消したため、繊維製品の対米輸出は急増し、再びメキシコを追い越した。こうした背景の下、貿易における中米両国の地位がそれぞれ高まり、相互依存度も高まっていった。

中米の経済関係で基盤となるのが経済的利益だ。経済的利益に相互補完性があるかどうかによって、両国が経済関係で協力するか、それとも競争するかは決まり、相互補完性と競争の程度によって、経済協力の程度と競争の激しさは決まる。中国は発展途上国だが、米国は先進国であり、両国の総体的経済力には非常に大きな格差があるため、経済的利益に競争的な衝突はほとんどない。中国は米国の投資や技術、先進設備、金融サービス、米国が生産しなくなった日用品や家電製品市場を必要とするが、米国は対中投資の拡大、ハイテク製品とサービスの輸出、金融商品の販売などを必要としており、両国の経済的利益には客観的に言えば互恵性がある。1978年に改革・開放政策を実行して以降、中国経済は力強い成長を続けており、米国の資金、技術、市場に対する需要が増え続けると同時に、米国により大きな輸出市場と投資市場を提供してきた。それだからこそ、政治関係が1989年に同盟関係から敵でもなくまた友人でもない関係に変わったにもかかわらず、経済関係は安定した発展を遂げることができたのだ。

中米両国は資源構造や産業構造、技術レベル、消費レベルなどで大きな格差があるため、経済貿易間の相互補完性は非常に際立って見える。中国は米国から主に航空機や発電プラント、エレクトロニクス製品、化学工業製品、機械設備など経済発展に差し迫って必要な資本・技術集約型製品を輸入しており、そのうち、技術度の高い機械・電気製品が輸入総額の約半数を占め、しかも一部製品は代替するのが難しい。また、良質の小麦などの農産物も中国市場は必要としている。一方、米国は中国から主に靴類や衣類、家電製品、照明器具、玩具、金属製品など労働集約型の日用製品を輸入している。米国ではこうした製品の生産コストが高いため、中国から輸入するほうがずっと採算に合うからだ。

主要な問題で相譲らず

中米の経済貿易関係に影響を及ぼす主要な問題は貿易不均衡であり、米側が大きな貿易赤字を抱えていることだ。昨年の貿易赤字は、サービス貿易における小額の黒字も含めても1620億ドルにも達した。この数字は中国に次ぐ貿易赤字をもたらした日本の752億ドルの2倍以上であり、赤字総額の約25%を占めている。中国側の統計は米国と差異はあるものの、約20%も占めており、この比率はここ数年ほとんど変わっていない。

中国は世界最大の発展途上国であり、米国は世界最大の先進国であり、貿易不均衡にはある程度必然性がある。こうした必然性は発展途上国と先進国自身の経済発展の特徴によって決まるものであり、グローバル化時代の国際分業によって決まるものでもある。国際貿易は国際分業の外在的な表れであり、各国が世界的範囲で資源を再配置する方式である。多国籍企業が中国に製造拠点を設立するなど、世界の産業は対中直接投資を通じて中国への大規模なシフトを進めており、これによって中国は名実がともに世界の工場となり、世界の資源の再配置が実現された。これは全世界の社会福祉を向上させるにプラスとはなるが、米国が一国主義を維持する上で少なからぬ圧力となるだろう。従って、われわれは、中米経済貿易関係は順調には発展しないかもしれない、それは米国の国家利益によって決まるということに目を向ける必要がある。

中国は人口が多く、労働力資源も豊富であり、紡績や衣料品、服装、玩具、革靴など労働集約型製品の加工・輸出は世界で大きな競争力を持っている。そのため、対米輸出の70%以上が原材料委託加工製品と輸入原料の委託・組立製品、いわゆる加工貿易である。言い換えれば現在、中国の輸出製品には、輸出するために輸入した商品がかなり含まれている。米国の対中輸出が、ハイテク製品の設計と営業・販売を主とする技術・資本集約型の製品や国際競争力の強い農産物であるのは明らかだ。中米両国が貿易製品でそれぞれの強味を持っていることは、経済のグローバル化時代における国際産業チェーンにおける分業を具体的に示すものだ。中米両国の競争力は同一レベルにないため、互いに強味を補完し合う分業協力関係だと言える。だが、米国は中国に対し厳格なハイテク輸出制限を実施していることから、自らの強味を中国に対し発揮するのは難しく、両国の強味のある製品の相互補完性も十分に具現化することはできず、これが中米貿易不均衡の最も根本的な原因となっている。

共同利益の模索

今後の中米経済貿易関係は、「風、雨、晴れの日もあり」という言葉で喩えられるだろう。相互補完性があり、かつWTO加盟後の中国が一層グローバル化の流れに融合したのを背景に、経済貿易交流は必ず長足の発展を遂げ、貿易と投資も絶えず増大していく一方、経済貿易上のトラブルも次々と生ずるだろう。貿易不均衡と貿易保護主義政策によってもたらされる摩擦が多くなるからだ。こうした協力もあれば摩擦もある、という経済関係は長期的に存在していくだろう。中米両国が実践でそれに適応するには、十分な心構えができていなければならない。

だが、貿易不均衡が長く続くことはないだろう。専門家の予測によると、2010年までに貿易赤字は減少し、2015年前後には、商品貿易はほぼ均衡を保つが、米国が対中ハイテク輸出制限を緩和するなら、均衡実現はもっと速まるだろう。“鈴を脱ぐには鈴を掛けた人物が必要だ”、貿易赤字問題を解決する主導権は中国側にあるのではなく米国側にあるため、米国側は現実を正視し、赤字の原因とデータを理性的に分析して実情を把握するとともに、効果的な措置を講じてこの問題の解決を進めていくべきである。

温家宝中国総理は2003年12月に訪米した際、中米間の公平な貿易と経済協力の発展について5つの原則を提起した。第一は、互恵と共同の利益。大所から着目し、自らの利益を考慮するだけでなく、相手の利益をも考慮する。第二は、発展を最優先すること。経済協力を拡大することで食い違いを解消する。第三は、両国間の経済貿易協調メカニズムの役割を発揮させること。適時に意見交換や交渉を行って、矛盾の激化を回避する。第四は、平等な協議。大きな共通点を求めて小さな相違点は残し、何かにつけて制限や制裁を行うことはしない。第五は、経済貿易問題を政治化させないこと。この五つの原則は、WTOの枠組みと国際貿易の基本ルールを踏まえたものであり、今後一時期、中米経済貿易関係に生じる可能性のある食い違いや摩擦を処理する上で必要なものだ。五つの原則の核心と精粋は発展、平等、互恵という6文字にある。発展は原動力、平等は前提、互恵は目的である。共同の利益を模索することは、中米両国の建設的協力パートナー関係を発展させる必要性に合致している。

経済協力によって中米関係は安定を維持されているため、われわれは、台湾問題で米国と衝突が生じなければ、経済関係の将来は楽観視できると考えられる。一方で、今後生ずるだろう貿易摩擦に対して油断することはできない。米国は産業構造の調整を行っており、製造業界は困難な状態にあるため、政府に圧力をかけ、経済問題を政治化させることもあるだろう。また、米企業の一部は政府の力を借りて、ダンピングや政府補助金、特別保障条項などをやり玉にあげて、中国をバッシングすることもあるだろう。これらに対しても、中国側は十分な心構えができていなければならない。

「北京週報日本語版」2005年第19号

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