ゲーツ米国防長官が9日夜に北京入りした。新年早々のゲーツ長官の訪中は冷え込んだ中米両軍関係の改善にとってチャンスだ。一方で世論は、両軍関係改善のプラスのシグナルではあっても、両国の軍事関係は敏感かつ脆弱であり、1回の訪問に全ての問題の解決を期待することはできないと見ている。新華社が伝えた。
4日間の滞在中、ゲーツ長官は中国側指導者と会談。中国国防部長とも会談し、世界や地域の安全保障情勢、両国・両軍関係、その他共通関心事について幅広く、踏み込んで意見交換する。
■ハイレベル交流再開は対立や溝の回避ではない
アナリストは、中米軍事交流の主たる障害はまだ残っており、両軍関係の改善は決して重大な問題における対立や溝の解決を意味するものではないと指摘する。双方間の溝を1回の訪問で埋めるのは困難だ。
中国側は、米側による台湾への武器輸出、議会による両軍交流の制限法案、米艦艇・航空機による中国の排他的経済水域(EEZ)内での頻繁な接近偵察が、中米両軍の相互信頼の構築や協力発展における主たる障害だと考えている。
現在両軍関係は修復への新たなスタートに立っているが、対米軍事交流の再開は決して両軍関係の発展における障害が除去されたことを意味するものではなく、対立の効果的解決を促すためのものだ、と羅援氏は指摘する。
中国側は原則性と柔軟性を結合して両軍関係の溝の処理にあたるべきだ。主権と領土保全に関わる核心的問題においては、中国は一歩たりとも譲らず、この最後の一線に触れぬよう米側に戒告する。核心的でない問題においては、小異を残して大同につき、協議を通じて対立をなくすことができる。
「米国とのハイレベル交流の延期も再開も、中国側の姿勢を示すためのものだ。延期は不満を、再開は善意を示すためだ」と、中国軍事科学学会の羅援副秘書長は言う。
アナリストは中米は互いの利益が絡み合っており、世界や地域の問題での両国の相互協力には巨大な潜在力があると考える。従来型の安全保障分野だけでなく、対テロ、海賊取り締まり、国際的な人道救援など、非従来型の安全保障分野の協力でも双方は広範な利益を共有する。両軍上層部の交流再開は、協調と協力の強化に向けた双方の意欲を示すものだ。
ゲーツ長官本人は訪中前に、訪問を通じて中国側との協力を強化し、両軍関係の一層の発展を図ることへの期待を示した。
■相互信頼を強化、誤った判断を回避
中米両軍関係の発展において、相互信頼不足は早急に解決を要する問題であり続けている。国防部外事弁公室は以前「ゲーツ長官の今回の訪中が両軍間の相互理解・信頼の強化、両軍関係における対立や溝の適切な処理、共通の利益と協力基盤の拡大、両軍の協力水準のたゆまぬ向上、両軍関係の健全で安定した前向きな発展に寄与することを希望する」と表明した。
最近米側は中国の軍事力強化を誇張し、中国「軍事脅威論」を宣伝する一方で、たゆまずアジア太平洋地域での軍事同盟を強化し、軍事配備を調整している。人々はその戦略的意図に懸念を抱いている。アナリストは「地域と全世界の安定維持の面で、双方は接触を強化し、誤った判断を回避するか減らすべきだ。中米軍事交流とハイレベル対話は相互信頼強化に向けた重要な措置だ」と指摘する。
中国人民大学国際関係学院のパン中英教授は「ゲーツ長官の訪中は前向きな動きだ。双方が溝を狭め、相互信頼を強化する重要な契機であり、新たな1年の軍事交流と対話の良いスタートとなる」と述べた。
パン教授は「世界の大国である中米間に溝があるのは極めて正常なことだが、双方は対話とコミュニケーションを通じて、理解を深め、誤った判断を減らすことができる」と指摘。両軍交流の今後については「ハイレベル交流の再開に伴い、両国の軍事関係は改善基調を呈すだろうが、当面は米側が中国側の懸念に真摯に対応する上でどのように的確で効果的な措置を打ち出すか、どのように両軍関係の発展に対して誠意を示し、その前向きな発展を促すかを見極める必要がある」と指摘した。(編集NA)
「人民網日本語版」2011年1月10日
|