過去1年間の中米関係を振り返ると、協力が苦難を圧倒したと言えよう。中米関係に苦難をもたらそうとする者はまだいるが、その効果と影響は減退しており、本流は依然として協力だ。協力は両国に目に見え、手に触れることのできる利益をもたらした。これは両国の利益と世界の平和・発展の大勢に合致する。
今年の中米関係を見ると、米側の懸念には人民元相場、貿易不均衡、在中企業への平等な待遇、知的財産権、中国の軍事力とネットの自由などがあった。中国側の懸念には台湾への武器輸出、オバマ大統領とダライ(ダライ・ラマ14世)との会見、南中国海問題、ハイテク製品輸出規制などがあった。これらの問題のうち、経済貿易関係の大部分には一定の進展があった。たとえば在中米国企業の待遇、米国の対中ハイテク製品輸出、知的財産権などの問題では、米国は中国をいくらか上回る実益を得た。
中国側の懸念する米国による台湾への武器輸出問題は中国の核心的利益に関係し、今年初めの中米関係に波瀾をもたらした。この種の問題の「周期的発作」の程度は以前ほどではないが、明らかに中米関係を損なうものである。
今年の中米関係におけるもう1つの際立った点は、双方がグローバルな舞台でより頻繁に接触や協議をしたこと、中米首脳・上層部間の複数回の会談がほぼいずれも多国間外交の場で行われたことだ。中米両国はいくつかの重大な国際問題において立場が完全に一致しているとはいえず、グローバル経済・金融管理体制改革の推進方法において相違点が多いし、アジア、アフリカ、中南米での競争もさらに激しくしているが、全体的には依然として協力姿勢を維持している。
現在の中米関係に見える大きな特徴は依然として駆け引きであり、その面積はさらに広く、程度はさらに強くなっている。いかにしてこの駆け引きにおける非協力的要素を排除し、協力的要素を強化するかが、将来の中米関係にとって大きな挑戦となる。
中米の全方位的で重層的な結びつきは複雑さと広範さを増している。ある1つの面で問題が生じたからといって、全面的な中断はあり得ない。だが同時に、このような「複雑な機械」は、小さなねじが1つ損傷しただけでも停止し、重大な損失を招く可能性もある。このため双方によるより入念な保護が求められる。
米国に必要なのは、中国側の核心的な利益や懸念を強く重視することだ。今すぐに米側に台湾への武器輸出問題の解決を期待するのはとても困難だが、今後米側にとって、内政圧力を周期的に緩和するこのような手法を継続するのは、恐らくどんどん難しくなるだろう。中米の上層部・中層部の交流はより多く、より密になり、両国と世界にとって、そこで取り上げられる議題の重要性も増していくからだ。この種の「周期的発作」のために中米関係が中断された場合のコストはさらに大きなものとなる。
中国は米国との関係において自信を強める必要がある。米国の「アジア回帰」の主たる目的は中国包囲ではなく、アジアの発展によるチャンスを逃さないことにある。アジアは全世界の成長を牽引するメインエンジンとなりつつあるからだ。米国はアジアの一部の国と中国との間に以前からある問題を利用して不和の種をまこうとしている。こららの国々を丸め込み、より巧妙に対立を利用するためだ。米国の「回帰」は中国の弱体化ではなく、逆に中国とアジア諸国との関係がより緊密化し、アジアへの中国の影響力が拡大していることを示している。
中米関係の発展、および世界の発展の中米両国への期待は、中米関係に「良くも悪くもない」という枠組みから抜け出すことを求めている。一言で言えば、中米関係には引き続き前進が必要なのだ。(編集NA)
「人民網日本語版」2010年12月28日
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