杭州市の西部、西湖から5キロも離れていないところに、西渓湿地と呼ばれる観光地がある。湿地といっても陸地が冠水状態にあるわけではなく、河川や湖沼が多く散らばる地帯だ。面積は約11.5平方キロあり、そのうち約70%が川や湖沼などの水域である。湿地公園内に生育する植物は262種類、鳥類は112種類に及ぶ。

西渓湿地公園内を遊覧船で回る
ここは、北海道に中国人旅行ブームをもたらした映画『非誠勿擾』(邦題は『狙った恋の落とし方』)の撮影地になったことから、映画公開後は大勢の観光客が訪れる観光名所になった。私たちが訪れた日も、映画の撮影場所となった大木の周囲に人だかりができていた。
この湿地も近年整備されたものだ。新西湖と同様に違法建築を撤去して景観を整備し、水質改善を行った。清代に建てられ康煕帝も滞在したという文化人の別荘「高荘」も再現されている。 西渓湿地は市内から驚くほど近い。「杭州は小さい。でもその小ささが逆に強みになります。西湖は太湖の四分の一しかないけれど、小さいからこそきめの細かい行き届いた開発をすることができる。そして都市規模が小さいだけに、少し郊外に行けば豊かな自然が広がっているのです。ここもその一例です」。浙江省新聞弁公室の晋杜鵑さんは言う。市街地から完全に切り離された手付かずの大自然も美しいが、市街地に近いからこそ人が住み、人の手が入り、人と共存する身近な自然の姿もまた別の美しさがある。 |