◆排出削減は誰もが参与できる
総面積6万6400平方キロの寧夏回族自治区は中国でも生態環境が厳しく、経済は相対的に遅れており、また気候変動適応プロジェクトの試験地区の1つでもある。
2005年に発効した「京都議定書」の規定によれば、先進国は資金と技術を提供して、発展途上国が温室効果ガスの排出削減効果を生むCDMプロジェクトを実施するのを支援し、プロジェクトによって検証された温室効果ガス排出削減量(CER)は排出削減割り当てと相殺できることになっている。05年以降、CO2取引市場は急速に発展して取引金額は倍増。業界関係者によると、12年までにCO2は16億3600万トン減少するという。現在、国連クリーン開発メカニズム理事会(EB)に登録したCDMプロジェクトは2300件近くにのぼる。アジアと中南米の発展途上国が主体で、なかでも中国は700件を超えている。
彭陽県のプロジェクト実施地区で農業部門の責任者と話す豊聯世貿公司の王潤林董事長(右)(陶克図撮影)
太陽熱調理器CDMは09年3月に中国でEBに初めて登録されたプロジェクトで、世界で初めてCDM理念が農村の貧困撲滅事業に適用されたビジネス運営プロジェクトでもある。
豊聯世貿有限公司董事長の王潤林氏は「彭陽県のCDMプロジェクトによる排出削減量はすでに国連の指定機関が検査し、その結果はEBのサイトで公表されている。年末にCERが明らかにされることは、このプロジェクトによるCERで実質的な取引が行えることを意味している」と説明。
豊聯公司は10年9月までに4件のCDMプロジェクトをEBに登録。「全プロジェクトで7万世帯の農家に無料で太陽熱調理器を提供することにしている。彭陽県に3万4000台、西吉県に1万9000台、海原県には1万7000台。すでに5万3000台を支給しており、残りは年末までに完了する予定だ」と王氏は話す。
農家の炊事は太陽熱調理器で基本的に賄うことができ、平均して各家庭で毎年1トン前後の石炭、数百元節約することが可能。年収が3000元未満の農民にとって少なくない財産となる。
農民はお金を節約すると同時に、CO2の排出も削減している。予測では、各太陽熱調理器の年間排出削減量を約2~3トンとすれば、7万台で合計15~20万トン、プロジェクトの実施期間を10年とすれば、150~200万トンの削減が可能だ。
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