中国が近く発表するレアアース(希土類)輸出枠は日本をはじめとする国々に「恐慌」をもたらすに違いない。中国はレアアース輸出枠を縮小し、無秩序で混乱したレアアース産業を正常な状態に戻したいと考えている。中国の輸出枠は今年に続いて来年も大幅に縮小する見通しだ。こうした状況を受け、日本や欧州連合(EU)などのレアアース輸入国は次々と中国に圧力をかけてきている。最も「胃袋」の大きい日本は代替材料の開発や下流企業の移転に躍起で、不測の事態になんとか対応しようとしている。経済参考報が伝えた。
▽中国への圧力がけで各国が結託
2カ月間ストップしていたレアアースの対日輸出は徐々に再開が始まっている。大畠章宏経済産業相は11月30日、「さらに4件、計66トンの中国からのレアアース貨物が確認された。すでに到着或いは確認済みの貨物は10件になった」と発表したが、「胃袋」の大きい日本がこれくらいで満足できるはずがない。
日本の朝日新聞は、中国がレアアース輸出を再開しても世界的なレアアースの供給不足は避けられないと報道。来年、日本だけで7000-8000トンは不足すると見積もる。
こうした状況を受け、中国のレアアース政策に対する輸入国の非難が強まっている。丹羽宇一郎駐中国大使は10月、中国の実施しているレアアースの輸出制限について、緩和を要請するよう米国・英国・ドイツ・フランス・韓国など主要国の駐中国大使に呼びかけた。
▽レアアース不足の対応に最も積極的な日本
世界最大のレアアース輸入国である日本はレアアース不足の対応に積極的にならざるを得ない。代替材料の開発の他、下流企業の移転も加速している。
大畠経産相は、レアアース輸入を中国に依存し過ぎている状態を打開するため、日本は代替材料開発計画を前倒しで実施すると明らかにした。スティーブン・チュー米エネルギー長官と取り交わした共同声明でも、日米のレアアース分野における協力強化、代替材料の共同開発を特別に盛り込んだ。
共同通信社によると、昭和電工は1日、ベトナムからのレアアース輸入拡大などを盛り込んだ2011年から2015年までの中期経営計画を発表した。さらに、同社はレアアースの使用を抑えた次世代合金の開発に力を注いでいると伝えられた。
昭和電工が生産する合金は自動車の製造に欠かせない高性能磁石などの材料で、電気自動車の普及に伴い、向こう5年で高性能磁石の需要は2倍に伸び、レアアースは欠かせない原料となると見込まれている。
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