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中国と日本  
容易ならざる中日の起点回帰

        ——―日本問題評論家、卓南生(トウ・ナムセン)氏に聞く

                                      鐘 新

三尺の厚い氷は一日の寒さでできたものではない。シンガポールの著名な日本問題評論家である卓南生氏は記者の取材を受けた際、「中日両国の今日の『膠着した局面』の伏線は過去の早い時点からすでに張られていた」と述べた。両国がどのように戦略パートナーシップの起点に戻るかについては、「両国指導者のより大きな決意と優れた知恵にかかっている」と卓南生氏は考えている。

                  

APEC首脳会議の行われた11月13日に面会する胡錦濤主席と菅直人首相

新「日米安保条約」で中国を仮想敵に

——―釣魚島漁船衝突事件は、中日間の一連の不愉快な出来事を引き起こした。もともとは中日両国間の争いだったのに、米国は高い調子で「釣魚島は日米安保条約の適用対象になる」と発言した。釣魚島事件に対する米国の「介入」をどう見るか。

卓南生:日米が共同で中国をけん制するのは今に始まったことではない。冷戦終結以降でも、このような構造は変わっていない。1996年4月17日の「日米安保条約」再定義を例に挙げてみると、その重点の1つは「日米安保条約」の仮想敵を旧ソ連から中国に変え、台湾を日米安保の範囲に組み入れたことだ。つまり、橋本龍太郎首相(当時)とクリントン大統領(当時)の時期から、今後の中日関係が安定する可能性はないことが決定づけられたのだ。

1996年の「日米安保条約」の再定義はちょうど日本経済バブルが破裂し、日米摩擦が終わった時期に当たった。ある日本人によると、「日本は2回も敗戦した。1945年には米国の2個の原子爆弾に負け、1996年には金融戦争に負けた」。注意する必要があるのは、日米が関係を再調整するにあたって、中国を共通の仮想敵と見なすようになったことだ。

中国は日本を抱き込んで米国に対処するべき、少なくとも鳩山政権が提起した中日米三国が「正三角形」のように発展していくべきだと見る人がいる。これは偽の命題であると思う。「日米安保条約」が一日でも存在すれば、いわゆる「正三角形論」は存在しない。

1996年の「日米安保条約」の再定義は、実は今後の中日米三国の関係を定めた。米国が釣魚島に「日米安保条約」第5条が適用されると発表したことの本質的な意味は、「日米安保条約」に基づき、米国が釣魚島を日本との共同防衛範囲と見なすだろうということだ。しかし主権は誰に属するかに至っては、自分たちで解決したらいい、という立場を取っている。これは明らかに非常に無責任なやり方である。

「遠交近攻」策は日本外交の「古い手口」

――近ごろ、日本は一方では大国を後ろ盾とし、他方ではインド、ベトナムなど中国の周辺諸国と頻繁に交流を行っている。これはどんなシグナルを示しているのかと思うか。

卓南生:この地域以外の大国を丸め込んで中国をけん制すると同時に、アジア制覇を図ることは、日本の従来からの外交政策である。20世紀初めの「日英同盟」や、第2次世界大戦中のドイツ、イタリアとの同盟はいずれもこのような政策によるものだった。

ここ数年来、日本はインド、ベトナムを抱き込むことに力を入れてきた。麻生政権時代には、日本は「価値観外交」を推進することで、ニュージーランド、オーストラリアなどの国を抱き込んで中国をけん制しようと試みたことがある。これはまぎれもない冷戦思考である。

人口、土地、資源などに制約されていることから見れば、日本は自分の実力だけでは中国と対抗できないことが分かっている。第二次世界大戦前であれ、今日であれ、日本の戦略家は皆これを認めている。

このため、多くの戦略家は「日英同盟」解体の失敗の教訓をしっかりと心に刻まなければならない、と政府に警告を発した。特に今年5月、鳩山元首相が普天間基地問題で米国に「甘えた」際には、これらの論調が新聞紙上によく見られた。政権を継いだ菅直人首相が、タカ派の前原誠司氏を起用したのは、米国との軍事同盟関係を回復させようとすると同時に、両国が共同で中国をけん制する戦略を強化しようという意図があったからだ。

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