――その制度的な原因というのは具体的に何か。
1つは徴税権力は実質的な制約と監督を受けていないこと。温首相は政治改革の核心は、権力に対する制約・監督を行うことであると述べている。抽象的に聞こえるが、私は具体的な問題だと思う。つまり、企業の収入とか庶民の収入、それに財産を徴税の手段を通じて勝手に政府の資産にしてもいいのか、ということだ。徴税権力が制約を受けないと結果はどうなるか。過去数年間の財政予算内の収入は3倍増になり、GDPに占める政府の収入の比重は上昇し、GDPに占める庶民の収入の比重は低下した。その直接的な結果として、1952年にGDPの69%を占めていた民間消費が、1978年には約45%、昨年は35%に下がった。それに対して、政府支出の比重は過去60年間に、16%から昨年のGDP比約30%まで上がった。そのため、マクロ的視点から見れば、経済発展を均衡化するには、まずはより多くのお金が庶民の懐に入るようにして、民間の消費がもっと増えるようにするべきだ。
2つ目は社会財産全体に占める国有資産の比重が高すぎることだ。私のおおまかな推定によると、中国の約70%の財産権は各クラスの政府に属するものである。そのため、中国のGDPの増加は主に政府に流れ込むので、住民が実感できる部分は多くはない。これは国有制と直接に関わっている。もちろん、このような制度は以前はプラスの役割を果たしたのである。1978年からここ数年まで、国が資源を規制し、政府が早急に資源を配置し、工業化を加速し、インフラを建設し、力を集中して重要な事を運んできた。このような角度から見れば、以前のような制度はプラスの作用を果たした。しかし今では切り替えるべきである。民有化の改革を行わずに、より多くの財産を庶民に割り当てて、より多くの中国家庭に中国経済成長による財産効果、財産性収入を実感させなければ、中国の輸出や投資への依存度を変えることは依然として難しいだろう。
3つ目は労働者権益の保障を強化し、労働者収入を高めなければならないことである。
|