近ごろ、米連邦準備制度理事会(FRB)が6000億の米ドル国債を買い入れた2回目の量的緩和政策が世界から厳しい非難を浴びている。これに対し、米国のガートナー財務長官は7日、米国の経済成長は世界経済にとって有利で、米国の消費者への依存度が高い国にとっても損失ではないはずだ、との考えを示した。
米国は国際社会の厳しい非難も大多数の国の利益も顧みず、量的緩和政策を実行することにこだわっているが、これは国際社会、特に新興市場国に対する侵害である。米国は利率をほぼゼロ水準に保ち、盛んに米ドルを増刷したが、国内生産力に転化できないだけでなく、国内の実体経済もまったくこれを取り込めていない。これらの米ドルはたちまちホットマネーとなって米国から流出し、世界市場へと押し寄せた。一方、米国、欧州、日本など西側の国々は現在金利水準が低く抑えられ、通貨は安値状態にあり、これら地域ではホットマネーが利益を上げる見込みはない。そのため、利益が見込めて、通貨高が続き、高金利傾向にある新興市場国に大量のホットマネーが流れ込むことになり、それによって新興市場国の経済が大きな打撃を被った。
米国の弱い米ドルという政策は必然的に世界
のすべての米ドル建値商品価格の大幅高を招き、世界を全面的インフレへと向かわせる。米国の量的緩和政策により、世界の資産価格が急上昇し、虚経済のバブルがふくらむことになり、世界の経済と金融は再び危機へと向かい、金融危機の再発にますます近づいていくだろう。
新興市場国、特に中国は米国の量的緩和政策の最大の被害者である。米国の米ドル大増刷により米ドルは安値になり、米国の輸出を刺激したが、中国を含む輸出依存度の高い新興市場国の経済は深刻な打撃を被った。米ドルは国際決済通貨であり、多くの国は米ドルで外貨準備をしており、米国国債も多くの国の貯蓄資産となっている。米ドル安はこうした国の財産を奪ったに等しい。
したがって、米国の量的緩和政策、米国の6000億の米国債買い入れは間違いなく世界経済にとって災禍の元であり、米国財務長官のホットマネー有益論は事実に符合しない詭弁であると言ってよい。
米国の2回目の量的緩和政策が中国にもたらす打撃を、中国は看過することはできない。少なくとも次の3つの措置を取るべきだ。1つ目は多くの国、特に完全に市場化された国である日本に倣って、速やかに外貨市場に介入し、人民元の値上がりをゆっくりしたものにするか、もしくは短期的に値上がりしないようにする。2つ目は資本プロジェクト管理を強化すると同時に、ブラジルとEUの経験を参考にして、一時的に金融取引税の徴収する。3つ目は米国が1980年代に日本を抑制した時のように中国を抑制しないよう警戒することである。(中国経済網/余豊慧)
「北京週報日本語版」2010年11月23日
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