現代化建設への貢献
一九五〇年代末から六〇年代初めにかけての中国の宇宙航空の実践は、中国の半導体、エレクトロニクス、原材料、計器などの産業に発展のチャンスをもたらし、中国産業構造の最初の変革を促した。
続く七〇年代の宇宙飛行技術の産業化の発展は中国の新型複合材料、特種合金、マイクロ•エレクトロニクス、コンピューターなどの技術の産業化を促進した。
さらに八〇年代の宇宙飛行技術の大発展と産業化の形成および宇宙航空製品の国際市場への進出は、マイクロ•エレクトロニクス、コンピューター、通信、新素材、新エネルギーなどのハイテク産業の発展を加速した。
そして九〇年代に、中国の宇宙産業は衛星の利用と実用衛星の分野で飛躍的進歩をとげ、有人宇宙飛行技術の発展は中国の移動通信、光ファイバー通信、バイオテクノロジー、海洋テクノロジー、新エネルギーなどハイテク産業にさらなる向上のチャンスを与え、また中国のハイテク産業を新たな飛躍へと導いている。
新中国成立以来、中国が開発した千百種以上の新素材のうちの八〇%は宇宙飛行技術の発展の要請に応じて開発し、成功を収めたものである。大型運搬ロケット第三段の開発過程だけでも航空宇宙工業部が関連部門に提出した研究プロジェクトは三千九百七十二件に達し、その内訳は冶金八十八件、化学工業百二十九件、建材八十六件、石油二十五件、紡織八件、軽工業四十五件などとなっている。一九六〇年に中国が旧ソ連の近距離ミサイルを模造した際に使われた国産素材は全体の三分の一に過ぎなかったが、十年後の一九七〇年の「長征2号」の制造では、その素材は百パーセント国産であった。
中国西昌衛星打ち上げセンターで打ち上げられる宇宙探査衛星 カメラ•鄒毅
また中国は回収型衛星によって農作物の種子の宇宙空間処理を行い、水稲の二〇~三〇%の増産、もみ米のタンパク質含有量の八~二〇%の向上、トマトの一七•二~二三•三%の増産、穀物の生長期の平均十日間の短縮などを実現し、これによって今年から二〇〇〇年までの間に食糧五十億キロの増産が可能となる。
一九九二年以来中国が独自で開発し、打ち上げた人工衛星の利用によって、テレビ中継局や受信局は教育関係だけでも五千局以上に達し、そのうち受信専用局は四千八百局余り、地上受信ステーションは六万四千カ所を数え、二億人の人口がそのメリットを受け、常時利用者は三千万人に達する。
また中国が独自に打ち上げた通信衛星により、中央人民放送局の対外放送番組は三十回線となり、中央テレビ局の第一、第二チャンネルの総合番組も中継されている。一九八九年に、中国ではすでに千五百本以上の衛星回線、二百本余りの各業種専用衛星回線ネットワークが開通している。また金融面でも北京を中心として、三百五十カ所の地方ステーションをつなぐ全国金融データネットワークが開設された。
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