最近、「中国の税関当局がレアアース(希土類)の対日輸出を禁止した」と報じられた。この情報は中日両国の政府によって直ちに否定されたが、西側諸国はこれを「中国のレアアース独占」への懸念を広める新たな機会と見なし、「中国はレアアース資源を武器化している」とまで公言している。彼らは中国にレアアースを乞うようになることを懸念するとともに、自分たちのF-22戦闘機が飛べなくなるのを心配しているのである。米国はいまなお先端技術の輸出禁止令によって中国を押さえ込み、EUはいまなお兵器販売禁止令の解除を条件に中国に対して受け入れがたい要求を出している。
レアアース(希土類)
中国現代国際関係研究院の江涌研究員は9月26日、「中国が正しい方向に発展しようとすると、いつも西側諸国は懸念を示す」と述べた。西側諸国は一貫して中国への科学技術や武器の輸出を禁止しており、中国はそれを黙って受け入れている。しかし中国が彼らに対して少しでも強硬な姿勢を見せれば驚いていぶかり、大げさに「中国脅威論」を唱え始める。これはまったく道理がない。中国はまだ彼らに対して輸出禁止令を出してもいないのである。
江涌氏は、「これは西側諸国の一貫した態度であり、OPECが連携してエネルギーを手中に収めようとしたときも、軍事的手段もいとわずに威嚇し合った」と話す。
実際、資源の発展戦略を重視する国は増えている。ロシアの『Rossiyskaya Gazeta』によれば、ロシアは大量のレアアース資源を備蓄しているが、レアアースの備蓄量と生産量は国家機密であるため、外部がその具体的な数値を知ることは難しい。しかし専門家は、ロシアのレアアース備蓄量は約1900万トンで、世界の備蓄量の19%を占めると推定する。90年代初頭、ロシアは年間約8500トンのレアアース酸化物を生産し、そのうち高純度のレアアース金属酸化物は約1000トンであったが、昨年のレアアース生産量は約2470トンで、主に国内企業への供給に用いられ、輸出はほとんどない。また、ロシアのレアアース発展戦略については、国民経済発展のレアアース需要を満たすために、鉱物資源の持続可能で安定した発展を維持するとしている。同時に、ロシアの地政学と社会経済の影響力を維持するためにできるだけ輸出を減らすという。
江涌氏は、各国は自国の資源の処理についての権利を有しており、どのように輸出するかは自分たちで決定すればいいことで、いかなる外的圧力も受けないと話す。実際、多くの国が戦略的資源を駆け引きの道具にしている。レアアースは経済的資源であると同時に戦略的資源でもあり、こうした駆け引きは正常なことなのである。米国も長い間このようにしてきた。中国はレアアースを武器にして他国を押さえつけることはしない。駆け引きの道具として、国際競争の態勢に基づき、自国の利益に立脚点を置いて、聡明な選択をしたのである。
『中国能源網』の韓暁平首席情報官は9月26日、「レアアースは新エネルギー分野に応用できるだけでなく、最先端武器の製造にも広く用いられ、国家の安全領域にかかわる。中国は資源を武器にはしていないし、私たちの資源を他人の武器にしてもならない」と述べた。
「北京週報日本語版」2010年9月30日
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