まず、中日双方はそれぞれ釣魚島海域の領有権を強調しているが、日本側が国内法に基づいて漁船と乗員を拘束したやり方自体、中国に対する冒険的な挑発である。中国側の立場から見れば、釣魚島及びその付属する島嶼は中国固有の領土であり、日本があくまでもいわゆる国内法に基づいて処理すると主張するのは、日本の関係する島嶼と海域の領有権と法執行権を具体的に示そうとするものであり、これは絶対に受け入れることはできない。たとえ中日漁業協定に即して両国の「暫定措置水域」において規則違反した漁船を処理するにしても、それぞれ本国の船舶管理に責任を負い、双方の船舶及び乗員を拘束することはできず、しかも双方の船舶は少なくとも300メートル以上の距離を保持していなければならない。今回の衝突事件がおきた水域はやや異なるものの、中日間にはこうした最小限の配慮がやはり必要だ。
次に、日本側が見て、中国側が示した強い反応を予想外と感じたことは、少なくとも日本側の情勢判断のミスを映している。中国側の厳正なる申し入れにより、日本側は9月13日に漁船を返還し、14人の乗員を釈放したが、船長は引き続き拘留した。そこには選挙への影響があったようだ。事件発生後、政権に就いて1年余りの民主党は党代表選を控えていたことから、事件を適切に処理するのが難しくなり、問題を解決する機会を失ってしまった。同時に、代表候補者である管首相と小沢一郎元幹事長が衝突事件に関する言及を避けたことに、中国重視の姿勢が見られる。
第3に、菅首相は9月14日に代表選で勝利した後、本来なら9月17日の組閣前に船長の釈放を発表し、事態を収拾することで、新内閣は負担をなくし、スムーズにスタートすることができたはずだった。だが、9月15日に訪日した米国のアーミテージ前国務副長官は、日本側に中国に対し強い姿勢で臨むよう要請。そうしたことから、菅首相が内閣を改造した後、日本側は9月19日に拘留期限の延長を発表した。そのため中国側は一連の対抗措置を講じ、9月21日、温家宝総理はニューヨークでの管首相との会談を拒否した。
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