劉江永(清華大学国際問題研究所教授)
中日両国の釣魚島列島(日本名・尖閣諸島)の領有権をめぐる争いが生じてすでに久しいが、現在のように両国関係にこれほど深刻な影響を及ぼすことはかつてなかった。9月7日、釣魚島の周辺海域で、日本の海上保安庁の巡視船と中国漁船が衝突する事件が発生。日本側が国内に基づいて中国の漁船と乗組員を拘束すると初めて強調したことが、中日関係の急速な悪化の導火線となった。これは中日友好に尽力する人びとを心痛させ、また国際社会の幅広い関心を呼んだ。
10月4日、温家宝総理と菅直人首相は第8回アジア欧州会議(ASEM)の開催中に懇談。双方は戦略的互恵関係を維持・推進し、両国の民間と政府間の交流を強化し、ハイレベルの会談を適時実現することで合意した。衝突事件が発生して1カ月近くなるが、これは中日関係の好転に向けた前向きのシグナルであり、両国の総理が小異を残して大同につき、関係の大局を維持するとの願いを示すものである。いかに状況が繰り返されるのを防ぐか、両国関係の回復を引き続き促すかが、中日両国政府が直面している重要な課題だ。
日本側が中国漁船と乗員を拘束したことに、中国政府が責任ある政府として本国の領土主権と公民の安全を擁護するために、船舶と乗員の釈放を求めたのは当然のことである。だが、日本国内の民衆の反応から見ると、中国側は関係する問題について辛抱強くかつきめ細かな説明をし、敏感な問題における対日外交を円滑に展開することを学び取る必要があった。だが、事件全体の過程から見れば、日本側の一連の連続的、系統的な政策決定のミスが、双方の釣魚島をめぐる紛争を絶えずエスカレートさせている主因である。
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