中国人が次々と日本への旅行をキャンセルしたため、日本の観光業は極めて大きな損害を蒙った。中国人観光客が日本で高額を消費し、贅沢に金を使うことは日本メディアに広く報道されている。過去9カ月間、日本への中国人観光客の数はずっと増え続けており、そのうちの1~7月には、初めて日本へ行った中国公民の数は同期比で38%増となり、延べ119万人に達した。中国人観光客の1人当たりの入店消費額は7万8000円に達し、アメリカ人の2万7000円、フランス人の4万7000円を大きく上回った。しかし、今回の事件発生後、中国外交部の姜瑜報道官は最近の記者会見で質問に答えた際、「中国人観光客は安全で快適なところを旅行先に選ぶに違いない」と述べた。日本の小売業と家電店は中国人観光客の減少を心配し始めている。
菅直人首相の対米政策が鳩山前首相の日米同盟問題における教訓を汲み取って変化したことは明らかである。菅直人首相の訪米期間中に、国防相など米閣僚が釣魚島問題で米国は同盟国として日本を防衛する責任を履行することを表明し、高い調子で日本を支持した。これによって、日本政府と国内の世論に安堵感が広がった。また、日本は今回、中国人船員を拘置したことで、中国政府の釣魚島に対する最低ラインが分かったばかりでなく、釣魚島問題が中国の民間人の感情にどの程度影響を与えるのかも知ることができた。
釣魚島の船舶衝突事件における中日両国間の駆け引きは、中国のGDPが日本を抜いて中日両国の国力ランキングが変わる時期におけるシンボル的な出来事である。歴史問題、領土問題については、中日両国は今後も、いつでも爆発して両国関係に影響を及ぼす可能性がある「爆弾」をいくつも抱えていくことになるだろう。今回の船舶衝突事件における中日両国の駆け引きとその損得は、新しい国際構造における中日両国の駆け引きの全体的な動向を予見させるものだ。
「北京週報日本語版」2010年10月12日 |