月探査プロジェクトの呉偉仁・総設計士が明らかにしたところによると、月探査衛星「嫦娥2号」の任務は、「嫦娥1号」と比べて、新しい技術を取り入れており、難度が高まり、システムはさらに複雑となっているという。また、6つの面で技術イノベーション・ブレークスルーを実現する計画だ。「科技日報」が10日に伝えた。
呉総設計士によると、「嫦娥1号」は、まず地球付近の軌道に打ち上げられ、幾度にもわたる調整を通じて月軌道に入ったが、「嫦娥2号」はキャリアロケットで地球から約38万キロ離れた月軌道(月面から200キロ)まで直接送られる。こうすることでさらに効率が高まり、「嫦娥1号」は軌道に入るまで約14日間かかったのに対し、「嫦娥2号」は7日以内に到達できる。
「嫦娥2号」の任務においては、中国が新たに開発したXバンド深宇宙制御システムの検証がはじめて行われる。「嫦娥1号」で使われた、Sバンド衛星制御ネットワークに比べると、Xバンドのほうが無線信号の周波数が高く、遠距離通信の感度も良い。
「嫦娥1号」が月面から200キロの周回軌道に入ったのに対し、月面から100キロの地点から探査を行う「嫦娥2号」は、飛行速度がさらに速く、軌道は低く、制動容量も大きい。また、月の不均等な重力が、衛星軌道にもたらす摂動も大きくなるため、衛星のコントロールは、さらに高い精度が求められる。
呉総設計士によると、「嫦娥2号」の任務においては、月面から100キロ-15キロの軌道移動と、急速な軌道測定技術の検証も行われる。月面から100キロの円軌道から、100キロ-15キロの楕円軌道へと調整する能力をテストするというものだ。
「嫦娥2号」はさらに落下カメラを搭載し、「嫦娥3号」の月面軟着陸に向けた準備として、月面画像取得の能力をテストする。データ転送速度も嫦娥1号の1秒あたり3メガから1秒あたり6メガに高まり、さらに1秒あたり12メガの高速伝送テストも行う。
「嫦娥2号」にはさらに、「嫦娥3号」の着陸予定地点の高解析度画像取得という特別な任務がある。「嫦娥1号」が搭載したCCDカメラの解析度は120メートル。「嫦娥2号」は月面から100キロの円軌道と、100キロ-15キロの楕円軌道の月に最も近い地点で、それぞれ「嫦娥3号」の着陸予定地域の画像を取得する。解析度はそれぞれ10メートル、1.5メートル以上となり、大幅に高まっている。(編集SN)
「人民網日本語版」2010年9月10日 |