世界経済の前途にかかわる一連の重大な問題について、中国は早くから自らの原則的立場を明確に述べ、責任ある行動をもって、無責任な「中国経済責任論」に強く反駁してきた。
さしあたって、国際経済金融体系に存在する制度的欠陥、系統的・構造的リスクはまだ取り除かれていない。国際経済金融体系をさらに公正にし、世界経済発展をより均衡なものにすることは、先進国と発展途上国が共に担うべき責任である。
「中国経済責任論」には、近年来、中国の実力が過大評価される傾向にあったことが反映されている。
一部の海外研究機関の中国研究は西洋の社会科学体系における統計とデータ分析をベースにしており、踏み込んだ調査研究に乏しく、往々にして中国の実情とはかけ離れたものになっていた。こうした研究機関は中国の過去30年の変化が歴史上のどの国よりも速かったことにのみ着目し、中国の発展には依然として多くの問題が存在していることを見逃している。それらの問題はおそらく数字で表わすことのできないものだ。中国は人口が多く、基盤が弱く、都市と農村、地域間の発展は不均衡で、環境や資源面での制約や矛盾が際立っており、社会の就業圧力が大きい。それにいまだ貧困から脱していない貧困層はかなりの数に上る。中国は依然として発展途上国なのである。
こうした問題を解決するまでは、中国は分相応のことをすることしかできない。自分の能力を超える責任をあれこれ負うことは不可能だ。
モルガン・スタンレーの調査によると、中国製品のおかげで、米国の消費者は一年で1000億米ドルの支出を節約できるという。
中国の発展は世界に機会を創造し、世界の進歩も力強く推し進めている。米国など先進国のメリットは多い。もし中国の発展の利益を享受しながら、その一方で中国の発展に疑問を投げかけるのだとすれば、それは実質的に13億の中国人の発展する権利を無視していることになる。
エネルギー、資源、気候変動などの問題で、先進国の基準で中国に要求を出し、自分たちが計算した数値で中国のエネルギー使用が多すぎると文句を言い、中国の一人当たり平均エネルギー消費量が西側にはるかに及ばないという事実を無視し、中国が省エネや排出量削減で払った努力を無視するのは、実際のところは、一部の人の高みから見下ろすような道徳的優越感や、その心の奥に隠された人には言えない目的を反映しているのだ。
中国の発展する権利を尊重しなければ、中国の経済責任に対して合理的で公平な判断を下し、中国の発展を理解することはできない。
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