世界経済の海を航行する船はまさに暴風域を抜けつつあり、希望の光が見え始めた。
理解しがたいのは、世界経済の船の転覆を防ぐために大きく貢献してきた中国が、またもや一部の国の政客やメディアの非難の対象になり、数々の「責任」を負わされようとしていることだ。ようやく 「中国の良かった点」について考え始めた人までもが、再び「中国の間違っていた点」を考えるいつものあら探しに戻ってしまった。
「中国人の貯蓄は多すぎる。低金利で米国に金を貸し、米国に歴史的な消費ブームと不動産バブルを引き起こした」
「人民元は低く評価されすぎている。少なくとも40%引き上げるべきだ」
「中国の保有する大量の米国債は、将来中国が米国の国内政策と外交政策の決定を操作する道具になる」
「中国は世界のエネルギーを飲み込んでしまう」
「中国はコペンハーゲンの国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)をぶち壊しにし、世界の気候変動対応行動にとって最大の障害になった」
「中国が調整を行わなければ、世界経済は不均衡問題を解決できない」
……
こうした様々な声は、世界経済のあらゆる問題はほとんど中国が原因で起きたものだとし、世界経済情勢が好転できるかどうかも中国の政策や措置によって決まり、中国は世界経済の不均衡を招いた責任を取るだけでなく、世界経済を救う責任まで果たすべきだと主張している。
「為替レート責任」、「黒字国責任」、「債権国責任」、「貯蓄国責任」、「エネルギー消費大国責任」、「二酸化炭素排出大国責任」……
発言をしていく上で、中国は「中国経済責任論」と立ち向かわなければならない状況になりつつある。
中国は合理的でバランスのとれた範囲内で人民元為替レートを安定させており、そのこと自体が世界経済に対する貢献である。中国は人民元相場制度の改革をさらに進め、人民元為替レートの柔軟性を高め、管理変動相場制を引き続き整備し、国際收支の基本的均衡と金融市場の安定を促進してきた。
中国の貿易黒字は国際分業と貿易構造の変化を反映している部分が大きく、グローバリゼーションを背景にして先進国が主導してきた国際産業分業化がさらに進んだことの結果である。中国はことさら貿易黒字を追い求めてはおらず、貿易成長方式を含む経済発展方式の転換を速めるよう努め、持続可能で均衡な貿易へと発展していくよう促してきた。
中国は米国最大の債権国である。しかし実際のところ最も気にするべきは「債務国責任」であり、「債権国責任」をどうこう言うのは本末転倒だ。中国には、国外資産の安全性に関心を持ち、信用を失わず誠実に約束を守るよう債務国に要求する十分な理由がある。
中国の一人当たり平均エネルギー消費量と二酸化炭素排出量は世界ではまだ比較的低い水準にある。それにもかかわらず、中国はエネルギー問題と気候変動問題に対応して強力な行動を取っている。2020年までに、中国はGDP単位当たりの二酸化炭素排出量を2005年から40%~45%減らし、再生可能エネルギーと原子力エネルギーなど非化石エネルギーの一次エネルギー消費に占める比率も15%前後にしようとしている。
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