本誌記者 繆暁陽
中国で「万博お婆ちゃん」として知られる山田外美代さんは退職した元公務員。5年前に愛知万博で会期中毎日入場という記録を作った。今、上海万博会場では、毎日この61歳の「万博お婆ちゃん」の姿が見られる。
山田外美代さんとその家族は今、上海万博会場の近くに住んでおり、毎日朝7時半頃出発して上海万博を見学に行く。家族で一緒に上海に来たことについて、山田外美代さんの息子の和弘さんは、「母はもともと病気をしていたが、愛・地球博に毎日通って、元気になった。上海万博へも行きたいと母が言うので、みんなで応援しようということになって一緒に来た」と語った。
5月21日、山田外美代さんは和弘さんと一緒にアメリカ館と中南米連合館を見学し、その途中で多くの中国人観光客から声をかけられた。
山田さんが入園後、必ずすることが3つある。まずは情報センターでその日の催しリストをもらうこと。次は、新聞を3種類もらい、万博で毎日出されている速報を手に入れること。三つ目は、地図を見て、更新の日付が変わっていたらもらうこと。
この日アメリカ館を見学したいと思った理由について、山田外美代さんはこう語った。「実は浦西の方のGMパビリオンを見た。2030年という同じテーマをアメリカ館でやっているので、両方見ないとコメントできないと思って、アメリカ館に来たかった。また、私は2人の息子がいて、次男は学者をしている。その次男が今、サンフランシスコにいる。ひょっとしてここでサンフランシスコの何かが見られるかもしれないので、楽しみにしている。」
山田さんがアメリカ館の前で並んでいると、多くの中国人観光客から声をかけられた。山田さんと一緒に記念写真を撮った中国人のお婆ちゃんは、「万博お婆ちゃんはとても元気で、中国の万博にとても関心をもっていて、友好的で、とても感動した。中日両国間の友情がいつまでも続きますように」と語った。
山田さんはアメリカ館を見学した際、ちょうど同館を見学していた中国外交部副部長、前駐日大使の崔天凱氏とばったり会った。山田さんは崔天凱氏に自分の万博ノートを紹介し、今まで毎日参観した中で面白かった内容を説明した。崔天凱氏は内容を見た後でその万博ノートに「歓迎来到上海世博会!中日人民世代友好(上海万博へようこそ!中日両国人民の友好が世々代々にわたって続きますように)」と書いた。崔天凱氏は「とてもうれしかったのは、ここで山田さんに会ったことだ。私は『愛・地球博記念館』で山田さんに会ったことがあり、彼女は当時から上海に住んで毎日上海万博を参観すると言っていた。今、彼女は願いをついに実現し、私もとてもうれしい」と述べた。
崔天凱氏との再会について、山田さんは「私たち家族の中国へのビザ発券をしてくださったのは崔天凱さんだ。言葉では表現できないくらい感激した。今日偶然お会いして、もっとお話がしたいと思った。そして中国要人の方々への感謝を再認識した。また、上海万博の素晴らしさを皆さんと共に楽しみながら体験していくことへの決意を新たにした」と述べた。
上海万博ではパビリオンの記念スタンプを押せる「万博パスポート」が発行されているが、山田さんは自分でノートをつけてオリジナルの上海万博パスポートにしている。「愛・地球博からずっと付けているもので、パビリオンを紹介する内容だ。これは私が毎日行ったという証。毎日、みなさんにお会いして、コミュニケーションしたものを、自宅に帰ってから写真を作って貼り付けている。だから、今日は21日目のページになる(取材日は万博開幕後21日目)」と山田さんは説明した。
アメリカ館の次に中南米連合館を見学した山田さんは、いろいろな施設を体験したり、パスポートにスタンプを押したりして、とても楽しんでいた。お昼には、浦西にあるうどんのレストランで大好きなうどん料理を食べて、元気いっぱいの様子だった。
山田さんは大阪万博、愛知万博に行ったこともあり、これまでの万博体験についてこう語った。「大阪万博は、私たちのような戦争が終わって生まれた子供たちにとってすごく夢があった。そこには、みなさんが今、使っている携帯電話が展示されていた。非常に大きな携帯電話があって、線がなくて、話ができて、すごく夢があった。動く歩道があったり、リニアモーターカーがあったり、今、世の中で普通に使われているものがその1970年には、とても私たちにすばらしく思え、すごく楽しい生活が待っているようなわくわくした気持ちになったのが大阪万博だった。愛・地球博は少し万博の内容が変った。私たちはこれから地球を守っていかなければならないという環境についてのテーマがそこにはあった。そのテーマを上手に万博の会場で教えてくれた。ゴミを九つの分類に分けたり、ソーラーパネルがあったりしたが、上海万博は愛・地球博をお手本にして、それを真似してくれている。真似してくれるというのは愛・地球博がすばらしいものだと思っているということだ。愛・地球博はお母さんで、上海万博はまだ、今日生まれて21日目の赤ちゃんだ。いっぱい勉強しながら、大人になっていく上海万博。上海万博がどのようにすばらしかったかは、最後の日にきっと私の中でまとまっていると思っている」。
「北京週報日本語版」2010年7月5日 |