■社会の公平性を一層重視
----中国国内の政治・経済についての質問です。中国では貧富の格差が拡大しているようです。総理は残り約3年の任期内に、社会の公平と正義の実現、所得分配の問題の解決に力を尽くすと表明されました。これはどのように進めるおつもりですか?
温家宝総理:中国の発展の不均衡性の1つの大きな問題は、都市と農村間、地域間に貧富の格差があることです。個人間にも貧富の格差があります。率直に言って、こうした格差にはまだ拡大が見られます。少数の人の手に富が集中する社会は、必然的に不公平な社会であり、従って不安定でもあります。
今後3年の任期内に、私たちは世界金融危機に対処し、経済成長を促進すると同時に、社会の公平性の促進を一層重視する必要があります。私は最大限の努力を尽くすつもりです。
まず、教育です。教育の公平性は最も大きなものです。私たちはすでに、本当の意味での9年間無償義務教育を実施しました。しかしこれはまだ不十分で、高等・中等教育、特に職業教育のさらなる発展が求められています。私たちはすでに、職業教育を対象とする奨学金制度の施行を決定しました。まず農村の貧困家庭の子女や「学農」学生の学費の免除です。大学生を対象とする奨学金制度も施行しています。2年前、中国の大学進学率は20%で、在校生は2000万人以上いましたが、当時の奨学金は計18億元しかありませんでした。私たちは2年間かけて、これを350億元に引き上げ、奨学金のカバー率は40%に達しました。
私たちは農村部を特に気遣っています。農村の子どもたちの生活環境は比較的悪く、学習環境も劣るからです。農村の子どもには、授業料や雑費以外に、教科書代も免除しています。農村の寄宿生には、さらに補助金も支給しています。教育の公平性とは、誰もが同等に教育を受ける機会を与えられるということです。私たちは引き続きこれにしっかりと取り組んでいきます。
次に医療です。医療は一人一人の健康に関わります。私たちは医薬衛生制度改革の推進を決定しました。医薬衛生制度改革はどの国においても非常に難しい改革です。医薬衛生制度改革を推進するため、中央政府は今後3年で重要な取り組みに計8500億元を投じます。
第1に、農村部での新「農村合作医療制度」の実施。
第2に、都市部での住民基本医療保険の実施。これは主に高齢者、子ども、障害者のためのものです。
第3に、社会保障。
このほか、農民の農業税を免除しました。これによって中国2000年の作付け税の歴史に終止符が打たれました。農民は作付けをしてももうお金を払う必要はなく、反対に国から補助金をもらえるのです。
当然ながら、私たちの実施する社会保障制度は水準は低く、基本を維持し、幅広くカバーするものです。わが国は余りに広く、人口も余りに多い。水準は一歩一歩引き上げていく必要があるのです。
所得の不均衡を緩和するため、私たちは多くの措置を講じます。一次分配では従業員の受け取る割合を高める。再分配では政府の財政支出を社会的弱者や教育・医療などの公共事業により多く振り分ける。こうした取り組みはすでに議事日程に組み込まれ、かつ順次実行に移されています。
「人民網日本語版」2010年6月2日
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