関連部門の主導により、関連機関を動員してこのほど行われた労働集約型産業に対する人民元レートの切り上げ圧力に関する試算が、人民元を切り上げるべきか否かの論争が巻き起こる現在、各方面の注目を集めている。電気機械製品、軽工業製品、繊維製品の輸出入商会が行った試算によると、人民元切り上げにより短期的には輸出の利益が拡大するが、切り上げペースが速すぎると、業界の利益率が短期間に大幅に低下し、損失を出す企業も現れるという。
中国電気機械製品輸出入商会の試算によると、人民元が短期間に3%上昇すると、家電、自動車、携帯電話端末などのメーカーの利益が30-50%縮小し、価格交渉力の弱い中小企業の多くは損失の危機に見舞われることになるという。中国繊維製品輸出商会の試算によると、他の生産要素のコストと価格が変わらなければ、人民元が1ポイント上げる企業の利益が1%減少するという。
電気機械製品は中国の輸出製品の中核であり、輸出額全体の約6割を占める。海外で販売される電気機械製品約50種類は、国際市場で大きなシェアを占めるが、中核技術を欠き、製品の競争力は弱く、高い市場シェアにもかかわらず利益は低く、価格決定権も弱い。このため人民元が上昇すれば、上昇を消化するのに相当の時間がかかるとみられる。
また業界の試算によると、人民元切り上げにより労働集約型産業の利益率が深刻なダメージを受けるとみられる。特に中小企業の多い業界へのダメージが大きい。中国軽工業工芸品輸出入商会によると、一定規模以上の軽工業企業(国有企業または年売上高500万元以上の非国有企業)の輸出利益率は約5%、一定規模以下では粗利益率が約2%に上る。軽工業は参入のハードルが低く、技術含有量が少なく、価格交渉力は弱く、中小企業が多く、生産能力は過剰で、長期にわたり悪循環する競争が行われたため、レートの上昇を価格引き上げを通じてコストに転嫁させることが難しく、企業内部で消化するしか方法はないという。日用品の陶磁器を例に取ると、企業が受け入れ可能なレートの上昇幅は約1ポイントで、1ポイント以上上昇すれば、多くの日用陶磁器メーカー(輸出規模10万ドル以下)は利益が出せなくなる。
中国繊維製品輸出入商会の試算によると、現在、繊維・アパレル製品メーカーの純利益率は平均3-5%で、3%を下回る企業もある。人民元が上昇すると、企業のわずかな利益が縮小し、製品の輸出競争力が低下し、中国の繊維・アパレル製品輸出にとって深刻なダメージとなる。ある企業の試算によると、他の生産要素のコストや価格が変わらなければ、人民元の1%上昇で、企業の利益は1%減少する。レートがもたらす損失は剛性の変化であり、顧客との話し合いや供給チェーン管理の改善といった方法によって解消することはできない。
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