シンガポールの華字紙「聯合早報」は5日、米カリフォルニアのシリコンバレーにあるハイテク企業のチーフエコノミスト連鵬氏の「中米貿易に起きている問題は米経済特有の構造問題で、為替相場の問題ではない」との文章を紹介した。
人民元は05年7月にドルと切り離されて以来わずか3年で21%切り上げられた。世界最大級の投資銀行である米ゴールドマン・サックスも、人民元の為替相場は今のところ基本的に合理的な水準にあると分析する。仮に人民元が低く評価されていたとしても、人民元切り上げが米国の貿易赤字解消に果たす役割は限られている。人民元の大幅な切り上げは米国の消費者を更に困難な状況にし、米国の貿易赤字に拍車をかけることにつながる。
米国の貿易赤字に関係する国は世界100カ国以上に上り、その多くは変動相場制を採用している。また、為替相場による大国間の構造的な貿易の不均衡の解決ではなかなか効果が上がらないことは歴史が物語っている。1985年に先進国は「プラザ合意」を調印し、大幅な円高を迫った。それから20年以上経った今でも、米国の対日貿易赤字は続いている。しかも日本はこの合意によってバブルが発生し経済の苦味を味う結果となった。
米国貿易の不均衡の根本は、消費と貯蓄にある。昨年の米国の個人消費は国内総生産(GDP)全体の7割以上を占め、個人貯蓄率は4.3%と増えている。
モルガン・スタンレー・アジアのローチ会長は、「中米貿易の問題を根本から解決するには、人民元切り上げを迫るのではなく、米国の長期的な過剰借り入れや経常収支赤字を、収入に見合った支出に抜本的に変えていき、貯蓄を増やしていく必要がある」との見方を示す。
米国の消費者の過剰借り入れは実際には「消費を促し、貯蓄を抑える」政策のもと取られた選択だった。貯蓄率を根本から高めるには社会保障をはじめ、ローン制度とその監督、税収政策、通貨政策、財政政策などから着手しなければならない。(編集KA)
「人民網日本語版」2010年4月6日 |