ポール・クルーグマン氏は『ニューヨーク・タイムズ』で中国が為替レートを操作していると非難し、これにより米国の140万人の雇用が失われ、世界経済の成長率を1.5%下げていると指摘した。国際貿易を研究する者がこのような発言をすれば、自然と政治家の主張を証明することになる。
中国経済に長期関心を寄せているスティーブン・ローチ氏は、「このやり方は間違っている」との意見を示している。先日開かれた中国発展ハイレベルフォーラムで、ローチ氏は、「米国経済は確かに深刻な問題に直面している。中でも深刻なのは10%を超える失業率や停滞する収入で、米国の政治ブローカーはこういった責任を担いたくないと考えている」と語った。
また彼と同様にノーベル賞受賞者であるジョセフ・E・スティグリッツ氏も、「米国は繊維製品などを製造しないため、人民元が切り上がっても輸出超過額は減少しない。したがって、人民元切り上げ要求は経済的分析に基づくものでなく、政治的なものだ」と指摘する。
2005年7月から2008年7月までに、人民元の対ドルレートは21%上昇したが、中国の対米輸出超過額は大幅に増加した。ところが2009年に対ドルレートが安定すると、輸出超過額は減少した。統計によると、今年3月上旬には輸入超過となっている。
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