ラサ地区で使用されている太陽集熱器
省エネ・排出削減は政府指導と個人努力の両方が必要
住宅暖房で炭素排出を減らすには、家屋建築自体の設計も大きな役割を果たす。中国の家屋の設計は合理的ではなく、断熱層が薄すぎるためにエネルギー使用効率の低下を招いていると嘆く人もいる。孟慶峰氏は次のように説明して、こうした誤解を晴らした。中国建設部は一昨年から、新築の建築物について、住宅のエネルギー消費を1980年より65%減らすという建築暖房エネルギー消費に対する強制的省エネ基準を実施し始めた。現在北京と上海で新たに設計される建築物のほとんどがドイツの一般省エネ建築基準に合致している。現在はこうした強制的基準の実施状況をチェックすることがカギとなっている。
孟慶峰氏は、それぞれの部屋の快適さに対する要求は、ニーズによって異なってくると言う。孟氏は、部屋ごとの暖房器具の横に調節バルブをつけ、昼間家にいないとか長期的に人が住んでいない部屋は弱めに調節し、時間帯と場所ごとに分けてコントロールすることを提案している。このほか、ボッシュのサーモ製品にはインテリジェント・コントロール・システムがあり、異なる温度要求のあるスペースごとに自動的に配分を行うことができる。「こういったコントロールを行わない場合、一つの部屋を25度にしたら残りの部屋も全部25度になってしまい、大量のエネルギーを消費してしまう」。
大多数の消費者にはまだ主体的な排出削減意識がないため、経済的なてこ入れによる調節がとりわけ重要に思われる。「お金を節約するという角度から消費者に省エネを考えてもらう上では、まだ政府による普及促進が必要だ」。調べたところでは、政府による普及促進はユーザーが省エネ・排出削減製品を選ぶ上で顕著な効果がある。孟慶峰氏は、EU諸国の消費者は「Solarkeymark」認証をパスした太陽エネルギー製品を購入すると政府から半額から三分の二の補助金を受けられ、ヨーロッパの太陽エネルギー製品市場開発は政府の普及促進によるところがきわめて大きい、と紹介した。
調べたところでは、中国の再生可能エネルギー熱供給に対する補助は主にプロジェクトや建築開発業者に対するもので、財政部、建設部が異なるルートで補助を行っている。例えば、中国西部で太陽エネルギー製品の据付を行うと建築面積一平米あたり 60元、地熱ポンプを据え付けると一平米あたり80元の補助金が受けられる。しかし博世(ボッシュ)熱力技術公司の孟慶峰氏は、政府が企業に補助金を出すのは実際には意義が大きくなく、正しいやり方は政府が補助金をエンドユーザーに出すことだと考えている。「なぜなら補助金を受けるユーザーが多いほど、こうした省エネ製品を使用するユーザーも多くなり、企業の長期的な発展にメリットがあるからだ」。
「北京週報日本語版」2010年3月15日
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